2024年11月15日
労務・人事ニュース
2023年度の消費者相談、前年比3.4%増加!特定商取引法関係が66%を占める
2023年度(令和5年度)消費者相談報告書をまとめました(経産省)
2023年度(令和5年度)における消費者相談の動向と特徴について、経済産業省消費者相談室がまとめた報告書では、相談件数が前年比3.4%増加し、7,185件に達しました。特定商取引法に関する相談が特に目立ち、全体の約66.4%を占める4,774件となっています。訪問販売が引き続き最多の取引類型で、特に住宅設備の修理や修繕に関する相談が増加しました。また、通信販売に関する個人からの相談では、「知らないうちに定期購入になっていた」などの解約関係の問題が頻出し、具体的には648件の相談が寄せられています。
特定商取引法関係のうち、訪問販売については1,538件の相談が寄せられ、前年度比8.8%増加しました。特に消費生活センターからの相談が多く、構成比の約72.0%を占め、1,107件に達しました。主な相談内容としてはクーリング・オフや書面不交付などの手続きに関するものが大半を占めています。消費生活センターからの相談が多い理由として、住宅リフォームや修理に関する業者の強引な勧誘や高額な請求が影響しています。具体例としては、事業者が初回の訪問時に低価格を提示しながら、後に高額な費用を請求するケースが見られ、消費者がクーリング・オフを希望しても業者が応じないなどの問題が挙げられます。
また、通信販売に関する相談件数は前年度比0.8%増の1,230件となり、インターネットを利用した取引が大部分を占めました。特に定期購入に関するトラブルが多発し、広告表示では定期購入であることが分かりづらかったり、初回のみの購入と認識していたが自動的に定期契約に変更されるケースが多く報告されています。さらに、健康食品や化粧品など、日常的に使用する商品に関連する定期購入のトラブルが多い傾向が見られ、消費者の不満が高まっています。
電話勧誘販売も前年比11.3%増加し、815件の相談が寄せられました。電話を通じた強引な勧誘やクーリング・オフへの対応の不備が主な問題で、消費者の不安を煽るような営業手法や、勧誘内容の曖昧さがトラブルの原因となっています。特に副業支援や投資関連の情報商材に関する相談が目立ち、SNS上での勧誘やオンライン会議アプリを利用した新手の販売手法が確認されています。
一方、先物取引に関する相談は前年の11件から25件に増加し、127.3%の増加率を記録しました。特に無許可の業者による投資詐欺に関する相談が増加し、著名人を名乗って消費者を勧誘するケースが多発しています。消費者が出金を求めても違約金や高額な手数料を請求される事例が見られ、これがトラブルの要因となっています。
契約トラブルに関しては、契約内容や解約手続きに対する消費者の不満が多く、特に解約が難航するケースが多いことが報告されています。特定継続的役務提供(エステティックや語学教室、学習塾など)では、違約金や解約拒否に関する相談が多く、総件数673件のうち解約関係が約44%を占めています。美容医療やエステに関する契約での中途解約が特に難しく、消費者の不満が高まっています。
消費者相談に寄せられた内容を年代別に見ると、50代の消費者からの相談が最も多く、全体の約26.3%を占めています。次いで40代が約19.7%、60代が17.8%と中高年層からの相談が多く、特に高額なリフォームや健康食品の定期購入など、生活必需品に関連するトラブルが多い傾向が見られます。
2023年度の消費者相談報告書は、特定商取引法関係の相談が依然として増加傾向にあることを示しており、消費者保護の必要性が一層高まっています。また、消費生活センターの役割が増しており、今後も多岐にわたる相談内容への対応が求められています。この報告書を通じて、消費者自身が契約に関する知識を高め、契約内容や解約方法に関する理解を深めることが、トラブル防止につながると期待されます。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ