2024年8月6日
労務・人事ニュース
2023年度日本経済レポート:就業者数15%にあたる約1,000万人が転職希望 正規雇用間での転職者数が増加
白書等(経済財政白書、世界経済の潮流、地域課題分析レポート等)(内閣府)
2023年度の日本経済レポートによると、日本経済はコロナ禍を乗り越え、新たなステージに向けた動きを見せています。このレポートでは、マクロ経済の動向、労働供給の拡大と家計所得の向上、企業行動の変化と投資拡大に向けた課題について詳述されています。
まず、マクロ経済の動向についてですが、2023年度の日本経済は輸出の回復が顕著であり、特にアメリカや欧州と比べて回復が進んでいるとされています。各国の実質GDPの推移を見ても、日本は他国と比較して輸出の影響が大きく、個人消費の回復はやや弱い傾向にあります。また、コロナ禍で積み上がった家計の超過貯蓄も徐々に取り崩されつつありますが、依然として高い水準にあります。
消費者物価は、輸入物価を起点とした財の物価上昇が一服し、サービスの物価上昇にシフトしています。特に電気・ガスの激変緩和措置などの政策要因が物価上昇を和らげている一方で、食料品の値上げは落ち着きつつあります。主要国の実質賃金の動向を見ても、日本はデフレ前に比べて賃金上昇が物価上昇を上回る傾向にありましたが、コロナ以降は実質賃金のマイナスが続いています。
次に、労働供給の拡大と家計所得の向上に向けた課題についてです。女性の労働参加が進み、特に高齢者の就業促進により、労働力人口は増加しています。しかし、労働需給は依然としてひっ迫しており、特にコロナ禍後に未充足求人の増加が顕著です。労働時間の追加希望者の半分は女性の短時間労働者であり、特に小学生等の子を持つ女性が追加就業を希望しています。就業者数の15%にあたる約1,000万人が転職を希望しており、正規雇用間での転職者数が増加しています。
最後に、企業行動の変化と投資拡大に向けた課題についてです。日本企業の貯蓄超過の実態は、アメリカや英国と比較して顕著であり、特に1990年代以降一貫して貯蓄超過の状態が続いています。企業の収益性や財務状況は、設備投資の重要な決定要因であり、利益率の向上や自己資本の強化などの取り組みにより、今後の投資拡大に向けた前提条件は整っています。無形固定資産への投資も重要視されており、特にアメリカ企業はプラットフォーム分野での研究開発投資が旺盛です。
これらの要因を踏まえ、2023年度の日本経済は回復基調にあり、さらなる成長と安定を目指して様々な取り組みが進められています。特に、労働供給の拡大と家計所得の向上、企業の投資拡大が今後の課題として挙げられます。
参考:日本経済レポート(2023年度)―コロナ禍を乗り越え、経済の新たなステージへ―(令和6年2月13日)概要
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