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2024年12月28日

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2024年、中東進出日系企業の69.1%が黒字見込み、UAE・トルコ・カタールでは75%以上が黒字予想

ジェトロ 2024年度 海外進出日系企業実態調査(中東編)(JETRO)

2024年12月18日、日本貿易振興機構(ジェトロ)は中東地域で活動する日系企業に対して実施した調査結果を公表しました。本調査は、2024年9月4日から9月24日までの間に行われ、中東10カ国に拠点を持つ236社にアンケートを送付、そのうち85.2%にあたる201社から有効回答を得ました。調査は、営業利益の見通し、今後の事業展開、競争環境、投資環境、有望なビジネス分野、地域情勢の影響、人権や脱炭素化の取り組みなど、多岐にわたるテーマを網羅しています。

調査結果の概要として、2024年の営業利益見通しでは黒字を見込む企業の割合が69.1%と過去最高を記録しました。特にアラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、カタールでは75%以上の企業が黒字を見込むと回答しています。しかしながら、人件費の上昇や需要減少の影響で赤字を見込む企業の割合も12.9%に達し、3年ぶりに1割を超えました。このような状況下で、中東地域の経済的ポテンシャルと課題が浮き彫りになっています。

今後1~2年の事業展開においては、「拡大」を計画している企業が前年より4.8ポイント増加し、全体の49.7%に達しました。これに続き、「現状維持」が45.7%を占めています。拡大の背景には、現地市場ニーズの増加が挙げられ、インフラプロジェクトや脱炭素関連事業への期待が高まっています。特に製造業では前年から13.2ポイント増加し、6割以上の企業が拡大を計画しています。

競争環境の変化については、55.4%の企業が市場シェアが増加したと回答し、一方で競合相手の数も57.3%が増加したと認識しています。地場企業に加え、米国、中国、欧州の企業との競争が激化している現状が見受けられます。この中で、企業は営業や広報の強化、製品やサービスの多角化を競争力向上の手段として挙げており、特にイスラエルでは営業強化が他国より顕著に見られます。

投資環境の魅力としては、「市場の将来性」が最も多く挙げられ、7割を超える企業がこれを理由に中東に拠点を構えています。一方で、人件費の高騰が投資における最大の課題とされています。また、資源・エネルギー分野では、水素や再生可能エネルギーが特に注目されており、電力インフラや食品関連の消費市場、さらにはAI分野にも関心が高まっています。中でもサウジアラビアは最も注目される国として挙げられています。

地政学的影響は85.2%の企業が業務に影響を与えると回答しました。具体的には、イスラエルとハマス間の紛争や紅海でのフーシ派による攻撃、ロシアによるウクライナ侵攻が挙げられます。こうした不安定な情勢がビジネス活動に直接的なリスクをもたらしている現状が浮き彫りとなりました。

人権と脱炭素化への取り組みでは、大企業と中小企業の双方で約半数が人権デューデリジェンスを実施していると回答し、脱炭素化についても8割以上の企業が既に取り組むか、取り組む予定であることがわかりました。このような取り組みは、現地の社会的要請に応えるだけでなく、グローバルなビジネス環境での信頼性を高めるための重要なステップと言えます。

この調査結果は、中東地域における日系企業の活動実態とその将来展望を明確にするものであり、同時に、さまざまな課題を克服するための貴重な指針となります。これから中東市場に進出を考える企業や、既に現地で事業を展開している企業にとって、これらの情報は重要な戦略的洞察を提供します。

⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ

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