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2024年9月23日

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2024年、出版社の36.2%が赤字!倒産・廃業が過去5年間で最多ペースに

帝国データバンク「「出版社」の倒産・休廃業解散動向(2024年1-8月)」(2024年9月8日)

2024年の出版社業界は、厳しい経営環境が続いています。全国で書店が減少している現状に加え、出版社の業績も悪化しており、2023年度には36.2%の出版社が赤字となり、過去20年間で最悪の状況に直面しています。出版不況が続く中で、多くの出版社が倒産や廃業に追い込まれ、業界全体に深刻な影響が広がっています。

特に2024年に入ってからは、人気雑誌の休刊・廃刊が目立ちます。月刊芸能誌『ポポロ』や、若者向けファッション誌『JELLY』、さらにアニメ関連の『声優アニメディア』など、著名な雑誌が次々と休刊を発表しています。また、英語で日本の文化や芸能を世界に紹介していた唯一の月刊誌『Eye-Ai』を発刊していたリバーフィールド社が、2024年4月に破産するなど、業界に衝撃が走りました。若者層の購読離れや、電子書籍やネットメディアの台頭が原因で、紙の雑誌や書籍の売り上げは、1996年のピーク以降、下降を続けています。

さらに、出版社にとって大きな負担となっているのが「再版制度」です。この制度により、出版物の約4割が返品され、在庫管理のコストが増大しています。それに加え、物価高による紙やインク、さらには物流コストの急上昇が、出版社の収益に大きな打撃を与えています。2024年の1月から8月にかけて、負債1000万円以上の出版社の倒産や廃業が前年と同程度のペースで発生しており、2024年が過去5年間で最も多くの倒産・廃業が発生する年になる可能性が指摘されています。

一方で、業界大手の書店では、返本を減らす取り組みが進んでいます。これにより、在庫負担の軽減を図ろうとする動きが見られます。また、特色のあるテーマや独自の編集スタイルを持つ雑誌が一定の成功を収め、業績を伸ばす出版社も少数ながら存在しています。しかし、ヒット作を生み出すのは非常に難しく、印刷や物流コストの増加により、多くの中小出版社が経営難に直面し、廃刊や倒産のリスクが高まっているのが現状です。

特に地方の出版社や、特定の分野に特化した出版社では、厳しい経営を余儀なくされています。出版不況の影響で、収益性の低い分野での出版活動を維持するのが難しくなっているからです。また、雑誌の発刊ペースも縮小傾向にあり、今後さらに多くの出版物が市場から姿を消すことが予想されます。中小出版社が厳しい環境下で生き残るためには、デジタルコンテンツの活用や、出版物の特色を強化するなどの対策が急務とされています。

『Eye-Ai』については、2021年に事業がザ・ショット(The Shot)に移管され、『Re:Eye-Ai』や『Re:Eye-Ai+』として現在も発行が続けられていますが、これもまた、厳しい経営環境の中での取り組みの一環といえます。出版業界が抱える課題は多岐にわたり、特に紙媒体に依存するビジネスモデルの見直しが急務となっています。

出版社の未来を切り開くには、新しいビジネスモデルやデジタルメディアとの融合が不可欠です。出版業界はこれまで以上に変革が求められており、今後どのように進化していくかが注目されています。

⇒ 詳しくは帝国データバンクのWEBサイトへ

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