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2024年9月23日

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2024年、医療機関の倒産件数が過去最多の70件に到達か―診療所・歯科医院の苦境が浮き彫りに

帝国データバンク「「医療機関」倒産動向」(2024年9月9日) 

2024年9月9日に発表された帝国データバンクの調査結果によると、医療機関の倒産が過去最多のペースで進行しています。特に病院、診療所、歯科医院など、医療関連の経営事業者における倒産件数が急増しており、2024年の年間倒産件数が70件に達する可能性が指摘されています。この数字は2009年に記録された52件を大きく上回り、過去最多となる見込みです。現時点で、2024年の8月末までに46件の医療機関が倒産しており、この数字はすでに前年の年間倒産件数を超えています。

特に診療所と歯科医院の倒産件数が増加しており、それぞれ過去最多を更新する可能性が高まっています。具体的には、診療所の倒産は20件、歯科医院の倒産は22件に達しており、今後さらに増加する見込みです。こうした小規模な医療機関が倒産に追い込まれる背景には、経営基盤の弱さや、コロナ禍以降も患者数が回復しないという問題があり、医療機関全体が厳しい経営状況に直面しています。

2024年8月末時点での医療機関全体の負債総額は130億400万円に達しており、診療所、病院、歯科医院すべてにわたり、経営の難しさが浮き彫りになっています。中でも、特定の歯科医院では19億円という大きな負債を抱えて倒産するケースも見られ、また、病院では10億円を超える負債を抱えた施設も複数存在しています。

これらの医療機関の倒産は、新型コロナウイルスの影響によって一度減少した患者数が回復せず、経営に大きな打撃を与えていることが原因とされています。特に診療所や歯科医院は、日常的な診療や予防的な治療を提供することが多く、患者が減少すると経営に直結するため、受診控えの影響を大きく受けています。また、経営者の高齢化や後継者不足が、特に地方の医療機関で深刻な問題となっており、事業継続が困難な状況が広がっています。

さらに、医療機関の運営環境も厳しさを増しています。診療報酬の引き下げや医療費抑制政策の影響で、医療機関の収益が圧迫されており、特に小規模な診療所や歯科医院では、経営を効率化する余地が限られているため、経営破綻に陥りやすい状況です。多くの医療機関は、人件費や設備費などの運営コストが重くのしかかり、倒産リスクが高まっています。

今後の見通しとしても、診療所や歯科医院を中心に倒産件数は増加する可能性が高いとされています。アフターコロナにおいても、医療機関の患者数が元に戻る見通しは立っておらず、経営の改善が見込めない状況が続いています。特に診療所や歯科医院は、高齢化や後継者不足という構造的な問題も抱えており、倒産のリスクは依然として高いままです。

政府や自治体による医療機関への支援策が求められていますが、これまでのところ根本的な解決には至っていません。医療機関の倒産が増加することで、地域医療の提供体制に深刻な影響を与える可能性があり、医療サービスの格差拡大や、医療アクセスの低下が懸念されています。特に地方においては、医療機関の閉鎖が地域住民にとって大きな問題となり、住民の医療へのアクセスが制限されるリスクが高まっています。

総じて、2024年の医療機関倒産の状況は、過去に例を見ない深刻な状況にあります。診療所や歯科医院を中心に、経営の厳しさが続き、今後も倒産件数の増加が懸念されています。

⇒ 詳しくは帝国データバンクのWEBサイトへ

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