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2025年2月28日

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2024年の悪質ECサイト通報数は3.1万件、前年比約1.5万件減少も依然高水準

悪質なショッピングサイト等に関する統計情報(2024年)(JC3)

2024年の悪質なショッピングサイトに関する統計が公表された。一般社団法人セーファーインターネット協会が運営する「悪質ECサイトホットライン」に寄せられた通報データを基に、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)が分析を行った結果、前年と比較して通報件数は減少したものの、依然として高水準を維持していることが明らかとなった。詐欺の手口は変化しつつあり、特にメール経由での被害が拡大していることが大きな特徴となっている。

2024年の悪質なショッピングサイトに関する通報件数は31,619件となり、前年の47,278件から15,659件減少した。この数値は2022年と同程度であり、大幅な減少とまでは言えないものの、警戒すべき水準が続いていることを示している。この減少の背景には、消費者の注意喚起が広まったことや、検索エンジンやセキュリティ事業者による対策強化が影響していると考えられる。一方で、詐欺業者は手口を変えながら引き続き活動を続けており、新たな手段が用いられていることがうかがえる。

悪質なショッピングサイトを知る経路としては、例年通り「インターネット検索結果」が最も多かったが、近年の傾向として「メールに記載されたURL」を経由する割合が増加していることが分かった。これは、フィッシングメールなどを利用して、消費者を詐欺サイトへ誘導する手口が増えていることを示している。また、「X(旧Twitter)などのSNS投稿」経由でのアクセスも一定数報告されており、ソーシャルメディアを悪用した詐欺も依然として存在する。詐欺業者は、検索エンジンのフィルタリング強化や、正規サイトとの競争の中で、より直接的な手段でターゲットを誘導しようとしている可能性が高い。

支払い方法については、悪質なショッピングサイトを利用した際にどのような方法で代金を支払ったかという質問に対し、多くのケースで「銀行振込」が選択されていたことが分かった。銀行振込は、クレジットカード決済や代金引換と異なり、返金の手続きが困難であり、詐欺の被害に遭った場合に取り戻すことが難しい。詐欺業者はこうした特性を悪用し、銀行振込を推奨する形で消費者を誘導している。特に、格安価格での販売をうたうECサイトが銀行振込を唯一の支払い方法として指定している場合は、詐欺の可能性が高いため注意が必要である。

こうした状況を踏まえ、消費者が詐欺サイトに騙されないためには、いくつかのポイントに注意することが求められる。まず、送られてきたメールに記載されているURLを安易にクリックしないことが重要である。特に、注文した覚えのない商品に関する通知や、不審な割引をうたったメールには注意が必要である。また、銀行振込しか受け付けていないサイトは避けることが推奨される。信頼できるECサイトであれば、クレジットカード決済や後払いなど、補償が受けられる支払い方法を提供していることが多いため、複数の決済手段を確認することが大切である。

さらに、サイトの運営情報を確認することも有効な手段である。特定商取引法に基づく表記が明確に記載されているか、事業者の所在地や連絡先が実在しているかを調べることで、詐欺サイトを見分けやすくなる。価格設定にも注意を払い、市場価格と比較して極端に安すぎる場合は、不正な販売の可能性が高い。多くの被害事例において、こうした異常な価格設定が詐欺の特徴として指摘されている。

URLの確認も欠かせない要素である。詐欺サイトは、本物のショッピングサイトと酷似したドメインを使用することが多く、例えば「amazon.co.jp」と見間違うような「amaz0n.shop」などのURLを使用しているケースが報告されている。ブラウザのアドレスバーをよく確認し、正規のサイトであるかどうかを見極めることが大切である。

今回の統計データからは、詐欺サイトの手口が変化しつつあることが読み取れる。従来は検索結果からの誘導が主流であったが、近年はメールやSNSを活用した直接的な手口が増加している。これは、検索エンジンのフィルタリング対策が進む中、詐欺業者がより確実にターゲットへ到達する方法を模索している結果であると考えられる。また、支払い方法に関しても、銀行振込を悪用する傾向が続いており、詐欺業者が消費者から確実に金銭を騙し取る仕組みを維持していることが分かる。

消費者自身が警戒心を持ち、慎重に取引を行うことが、被害を防ぐための最も有効な手段となる。怪しいサイトを発見した際は、「悪質ECサイトホットライン」などの公的な通報窓口を活用することで、被害拡大を防ぐことができる。また、家族や知人と情報を共有し、注意喚起を行うことも大切である。今後も詐欺サイトの手口は変化し続ける可能性があるため、消費者一人ひとりが警戒を怠らず、正しい知識を持つことが求められる。

⇒ 詳しくは一般財団法人 日本サイバー犯罪対策センターのWEBサイトへ