2025年2月17日
労務・人事ニュース
2024年の日本食品輸出が1.5兆円突破!アメリカ市場の拡大が成長を後押し
「2024年の農林水産物・食品の輸出実績」について(農水省)
2024年の日本の農林水産物および食品の輸出額は、前年を3.7%上回る1兆5,073億円となり、初めて1.5兆円を突破しました。これは、日本の食文化の海外での浸透や、日本食レストランの増加、インバウンド需要の回復などが後押しした結果と考えられます。しかし、一方で中国および香港向けの輸出が減少するなど、国・地域によって異なる傾向が見られました。
全体の輸出額の内訳としては、農産物が9,818億円(前年比+8.4%)、林産物が667億円(前年比+7.5%)、水産物が3,609億円(前年比▲7.5%)、少額貨物が979億円(前年比+1.9%)となりました。特に農産物の輸出が堅調に推移しており、緑茶や牛肉、ソース混合調味料、米などが大きく伸びています。一方で、水産物の輸出は中国や香港の輸入規制の影響を受け、大きく減少しました。
輸出先の国・地域別に見ると、最も輸出額が多かったのはアメリカで、前年の3位から1位に浮上しました。続いて、香港が2位(前年と同じ)、台湾が3位(前年4位)となりました。アメリカ向けの輸出が増加した背景には、日本産の牛肉やホタテ、日本酒などの需要拡大があると考えられます。台湾では、りんごやホタテが好調で、輸出額が前年比+11.2%となりました。
品目別では、日本式カレーの人気が高まり、ソース混合調味料の輸出が前年比+16%の86億円増となりました。また、緑茶の輸出も好調で、前年比+25%の72億円増を記録しました。特に抹茶がラテやスイーツの原料として人気を集めています。牛肉も前年比+12%の70億円増と好調で、アメリカや台湾、東南アジア、ヨーロッパでの販売が拡大しました。さらに、清涼飲料水の輸出も増加し、米国ではラムネが人気を集め、香港では緑茶飲料の需要が伸びました。
一方で、輸出が大きく減少した品目としては、なまこ(前年比▲38%)、ウイスキー(前年比▲13%)、真珠(前年比▲10%)、ホタテ貝(前年比▲16%)、魚油(前年比▲27%)が挙げられます。特に中国向けの水産物輸出が大幅に減少し、ホタテ貝は事実上ゼロとなりました。中国は日本のALPS処理水放出を受けて日本産水産物の輸入を規制したことが影響しています。
輸出が増加した国・地域では、アメリカが最も多く、前年比+367億円の増加となりました。ホタテ貝や牛肉、日本酒が主な輸出増加品目でした。台湾は前年比+171億円の増加で、りんごやホタテ貝、牛肉の輸出が伸びました。ベトナムも前年比+165億円増となり、ホタテ貝や植木、牛肉の輸出が好調でした。
一方で、輸出が減少した国・地域では、中国が最も大きなマイナスとなり、前年比▲689億円の減少となりました。ホタテ貝やウイスキー、なまこなどの輸出が激減しました。香港も前年比▲155億円の減少で、真珠やホタテ貝、さんごなどが輸出減少の要因となりました。
2024年の輸出全体としては、農産物の輸出が引き続き拡大し、日本食ブームや健康志向の高まりがその追い風となっています。一方で、中国や香港向けの水産物輸出が厳しい状況となり、今後の対応が求められる局面です。特に、新たな販路の開拓や既存市場での需要拡大がカギとなるでしょう。2025年に向けては、さらにアメリカや東南アジア、ヨーロッパ向けの輸出を強化することが重要になりそうです。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ