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2024年7月4日

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2024年の月例経済報告:日本経済は緩やかに回復、賃上げ率5.08%で過去最高水準

令和6年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第1回)資料 資料No.4_足下の経済状況等に関する補足資料(厚労省)

2024年5月の月例経済報告によると、日本の景気は足踏み状態が続いているものの、緩やかに回復しています。先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果によって、回復が続くことが期待されています。しかし、世界的な金融引締めや中国経済の先行き不透明感などがリスクとなっており、また物価上昇や中東情勢、金融資本市場の変動にも注意が必要です。さらに、令和6年の能登半島地震が経済に与える影響にも留意する必要があります。

内閣府の「月例経済報告」では、2024年1月から5月にかけての日本経済の基調判断が示されています。1月から5月までの報告では、一部の足踏みが見られるものの、全体としては緩やかに回復しているとされています。雇用情勢については改善の動きがあり、消費者物価は緩やかに上昇しているとのことです。

また、連合の2024年春季賃上げ妥結状況によると、賃上げ率は5.08%であり、中小企業では4.45%となっています。これは比較可能な2013年以降で最も高い水準です。経団連の春季労使交渉でも、大手企業の賃金引上げ率は5.58%、中小企業では3.92%となっており、こちらも高い水準です。

雇用人員判断D.I.の推移を見ると、2020年9月以降、人手不足感が強まり続けており、中堅企業・中小企業では大企業以上にその傾向が強まっています。2024年6月の予測では、中小企業の人手不足感が特に高まっていることがわかります。

地域別の完全失業率の推移を見ると、2020年の4月から6月期に特にAランク地域で失業率が上昇しましたが、最近では緩やかに改善しています。また、ランク別の有効求人倍率の推移では、2020年前半に大きく低下した後、改善が続きましたが、現在では横ばいの状態です。

産業別の状況では、2020年4月から6月期に一部の産業で大きく利益率が低下しましたが、その後は改善傾向にあります。特に製造業や運輸業、郵便業では改善が顕著です。

消費者物価指数の推移を見てみると、2024年5月の消費者物価指数は対前年同月比で+2.8%となっており、生鮮食品を除く総合では+2.5%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合では+2.1%、持家の帰属家賃を除く総合では+3.3%となっています。物価の上昇は2023年以降減少傾向にあるものの、依然としてプラスで推移しています。

さらに、消費者物価指数の「持家の帰属家賃を除く総合」(前年同月比)は、2024年5月に+3.3%となっており、生鮮食品を除く食料が大きく寄与しています。エネルギーの寄与度は2023年2月以降マイナスでしたが、2024年5月にはプラスに転じています。

倒産件数の推移を見ると、2023年は倒産件数が増加し、8,690件に達しました。物価高倒産は2024年5月に99件発生し、前年同月比で47.8%増加しました。特に建設業、小売業、運輸・通信業で多く発生しています。販売不振が倒産原因として最も多く挙げられています。

中小企業への支援策として、よろず支援拠点による相談対応、小規模事業者支援、省力化投資補助、中小企業生産性革命推進事業などが実施されています。これらの支援策は、中小企業の生産性向上や人材育成、IT導入、販路開拓、事業承継など多岐にわたります。

人材開発支援助成金や働き方改革推進支援助成金、テレワークの促進支援なども行われており、中小企業の労働環境改善や生産性向上に向けた取り組みが支援されています。特に、働き方改革に関しては、労務管理の専門家による相談やセミナーの実施が行われています。

また、最低賃金の引き上げに取り組む事業者には、設備・運転資金の低利貸し付けが行われています。キャリアアップ助成金では、非正規雇用労働者の正社員転換や処遇改善を行った事業主に対して助成が行われています。 ​

参考:資料No.4_足下の経済状況等に関する補足資料

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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