2024年8月19日
労務・人事ニュース
2024年の生活満足度調査 非正規雇用者の満足度が過去最高を記録
満足度・生活の質に関する調査報告書2024(内閣府)
今回の調査報告書は、内閣府が2024年8月に発表したもので、我が国のWell-beingの動向を可視化することを目的としています。この報告書は、GDPなどの経済指標だけでは捉えきれない、主観的な生活満足度や関連する社会的要素を多角的に分析しています。報告書は、2019年から実施されている「満足度・生活の質に関する調査」の第6回調査(2024年2月実施)の結果を取りまとめたもので、13の分野別における生活満足度やその変動、年齢や性別、雇用形態などによる違いについて詳しく分析されています。
生活満足度は、過去5年間で最大の上昇を記録し、調査開始以来最高水準となりました。特に男性の生活満足度が大きく上昇しており、年齢別では39歳以下の若年層と40歳から64歳の中年層で顕著な上昇が見られました。地域別では、全国的に同程度の上昇が見られ、非正規雇用者の満足度が正規雇用者との差を縮める形で改善しています。
分野別に見ると、生活満足度の向上に最も寄与したのは「家計と資産」であり、特に男性の若年層でその傾向が強く見られます。一方、女性の場合は全ての年齢階層で「家計と資産」が上昇しており、他の分野でも一定の上昇が確認されました。また、生活満足度を評価する際に重視される事項としては、「健康状態」「生活の楽しさ・面白さ」が高評価される一方で、「家計と資産」は重視されているにもかかわらず、評価が低めに留まっています。
今回の調査では、生活満足度の点数分布も分析されており、7点が最も多く、次いで8点、5点と続いています。特に若年層では7点、中年層では5点、高齢層では8点が多く、年齢による分布の違いが確認されています。さらに、5年前の回顧満足度と現在の満足度、そして5年後の予想満足度についても調査しており、過去5年間で生活満足度が上昇した人の多くが将来の満足度低下を予想する傾向にあります。
働き方に関する調査結果では、転職意向と生活満足度の関係が示され、転職意向のない人が最も高い満足度を示していることがわかりました。特に40歳から64歳の層では、転職活動中の人の満足度が顕著に低くなる傾向が見られました。また、起業意向と満足度の関係についても分析されており、39歳以下の若年層では起業経験者や起業準備中の人が高い満足度を示す一方、40歳から64歳の層では起業経験者の満足度が最も低くなる傾向があります。
さらに、60歳以降も働き続けたいと考える人の割合が高く、特に男性は75歳以上でも5割以上が就業を希望しています。このように、就業意向が満足度に大きく影響しており、特に男性では無業者の満足度が就業者を大きく下回ることが確認されています。
総じて、今回の報告書は、生活満足度に影響を与える要因を多角的に分析し、社会全体のWell-beingを高めるための重要な視点を提供しています。このような分析結果は、企業の採用担当者が労働市場の動向や働き方改革の効果を評価する際に、非常に有益な情報となるでしょう。特に、若年層の満足度の変動や、非正規雇用者の改善傾向など、企業が今後の人材戦略を考える上で重要な指標となります。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ