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2024年9月30日

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2024年の観光業回復、訪日外国人客数2100万人超でインバウンド需要が急拡大

帝国データバンク「観光産業の最新景況レポート(2024年8月)」(2024年9月19日)

2024年の観光産業は、国内外の旅行需要に大きな変化が見られる中、コロナ禍後の回復が着実に進んでいます。特に、インバウンド需要が強力な牽引役となっており、2023年5月に新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことを受けて、観光産業全体の景気は2019年の水準を超える勢いを見せています。一方で、国内外で発生した自然災害や円安の影響を受け、一部の地域では回復が遅れているという課題も残っています。

帝国データバンクが行った2024年8月時点での観光産業の最新レポートによると、観光業における景況感は2023年3月以降、18カ月連続で全産業の景気DIを上回る結果となっています。この期間中、観光DIは着実に改善しており、特にインバウンド需要がその成長を後押ししています。2024年8月の観光DIは47.2と、前年同月に比べて1.6ポイント増加しました。これは、訪日外国人客数が前年比で急増していることに大きく依存しており、2024年1月から7月までの訪日外国人数は合計で2107万人に達し、前年同期の1303万人を大きく上回りました。この勢いが年内も続くと予想され、2024年通年では、コロナ禍前の2019年の水準を超える見通しが立っています。

一方で、国内の観光需要も堅調に推移しています。観光庁が発表した「主要旅行業者の旅行総取扱額」によると、2023年度の国内旅行の取扱額は2兆3559億円と、コロナ禍前の水準に近づいています。しかしながら、海外旅行の取扱額は1兆699億円に留まり、円安や物価高の影響で回復が遅れています。特に海外旅行に関しては、2024年4月から6月の総取扱額が前年同期を7.1%上回るにとどまり、通年で2019年度を上回るのは難しい状況です。

観光産業全体が回復傾向にある一方で、地域や業種によっては回復の遅れや新たな課題が見られます。例えば、南海トラフ地震の臨時情報により、一部の宿泊施設では最繁忙期に集客が大きく影響を受けたとの報告があります。また、地方ではインバウンド需要が限定的で、観光業の成長が十分に実感できていない地域もあるようです。特に、飲食業においては夜間の人出が少なく、コロナ禍以前の水準に戻っていないとする声が上がっています。

さらに、観光産業が抱える課題としては、人手不足やオーバーツーリズムが挙げられます。観光業界は、観光地への過度な訪問が地域社会に与える影響に対応しつつ、新たな観光需要を掘り起こす必要があります。特に、訪日外国人の増加に伴う需要増加に対応するため、労働力の確保や観光地の受け入れ体制の整備が急務となっています。

今後、観光業界が持続的な成長を遂げるためには、環境変化に適応しながら新たな取り組みを進める必要があります。例えば、地域の魅力を再発見するための旅行企画や、国内外の観光客をターゲットにしたプロモーション活動が重要となってきます。また、旅行需要を喚起するためのキャンペーンや、地域特有の文化や自然を活かした体験型観光が一層注目されるでしょう。

総じて、2024年の観光産業は、強いインバウンド需要を背景に着実に成長していますが、一方で地域ごとの課題や経営環境の変化にも対応していくことが求められています。特に、今後の成長のカギを握るのは、観光客の多様化するニーズに対応し、持続可能な観光地づくりを進めることです。地域ごとの特性に応じた観光資源の活用や、地元住民との共存を図る取り組みが一層重要となるでしょう。

⇒ 詳しくは帝国データバンクのWEBサイトへ

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