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2025年2月28日

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2024年の転職者数は331万人、3年連続増加―採用市場の競争激化に企業はどう対応すべきか(労働力調査2024年平均結果)

労働力調査(詳細集計) 2024年(令和6年)平均結果(総務省)

2024年の労働力調査(詳細集計)の結果から、日本の雇用市場に関する最新の動向が明らかになった。非正規雇用の職員・従業員数は前年より2万人増え、総数は2,126万人となった。このうち男性は682万人と1万人減少したのに対し、女性は1,444万人と3万人増加した。男性の非正規雇用の主な理由としては、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最も多く224万人を占め、前年より15万人増加した。一方、「正規の職員・従業員の仕事がないから」という理由の男性は10万人減少し、89万人となった。女性の場合、「自分の都合のよい時間に働きたいから」と答えた人は506万人で、4万人増加。「家計の補助・学費等を得たいから」という理由は289万人で、6万人減少した。

失業者数は195万人となり、前年より3万人減少した。失業期間が3か月未満の者は1万人増え83万人に達した一方、1年以上の長期失業者は54万人で、5万人減少した。これは、労働市場の回復基調を示す一方で、依然として長期失業の課題が残ることを意味している。

非正規雇用の職員・従業員がその形態を選んだ主な理由の中で、最も多かったのは「自分の都合のよい時間に働きたいから」であり、731万人がこれを挙げた。前年と比べ19万人の増加となった。この背景には、フレキシブルな働き方を求める人々の増加や、家庭と仕事の両立を図る必要性があると考えられる。

転職者の数は3年連続で増加し、2024年は前年比3万人増の331万人となった。男女別に見ると、男性の転職者数は154万人で3万人増加した一方、女性は177万人で前年と同数であった。転職希望者数に関しては、全体で1,000万人となり、前年より7万人減少。これは8年ぶりの減少であり、転職市場の動向に変化が見られる。

また、追加就労希望就業者数は190万人で前年と同数であった。これは、現在の仕事に加えて別の仕事をしたいと考える人々の数が一定していることを示している。未活用労働指標4(LU4)、つまり最も広範な意味での未活用労働率は6.0%となり、前年より0.1ポイント低下した。これを男女別に見ると、男性は4.7%(0.1ポイント低下)、女性は7.4%(0.2ポイント低下)であり、女性の方が未活用労働の割合が高いことが分かる。

一方で、非労働力人口は4,009万人となり、前年より52万人減少。これは、労働市場への参加が増えていることを示唆している。その中でも、潜在労働力人口は33万人で3万人減少し、労働市場への新たな参加者が限定的であることも明らかになった。

この結果から、日本の労働市場は徐々に回復傾向にあるものの、非正規雇用の増加や長期失業者の存在、転職希望者の減少といった課題が残ることがわかる。企業の採用戦略においては、フレキシブルな雇用形態の導入や、転職希望者に対する魅力的な職場環境の提供がますます重要になると考えられる。

企業がこれからの雇用市場に適応するためには、働き手の多様なニーズに応じた雇用形態の提供が必要である。特に、柔軟な働き方を求める人が増えていることを踏まえ、リモートワークの導入や短時間勤務の拡充、福利厚生の充実が求められる。また、女性の非正規雇用が増加傾向にあることから、育児・介護と仕事の両立を支援する制度の整備も欠かせない。

転職市場においては、企業は魅力的なキャリアパスを提示し、従業員のスキルアップを支援する体制を整えることが求められる。人材の定着を図るためには、昇進・昇給の機会を明確にし、働きがいのある職場環境を提供することが重要だ。特に、転職希望者が減少傾向にあることを考えると、優秀な人材の確保には、単なる給与の引き上げだけでなく、ワークライフバランスやキャリアの成長支援も不可欠である。

企業の人事戦略としては、労働市場の変化を見据えた柔軟な対応が必要になる。求職者のニーズを把握し、適切な採用・定着施策を打ち出すことで、優秀な人材を確保し、組織の発展を促すことができる。2024年の労働市場データは、今後の採用方針を考える上で重要な指標となるだろう。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ