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2024年7月9日

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2024年までに浸水被害を30%軽減!地下空間活用による新たな治水対策

「浸水被害軽減に向けた地下空間活用のあり方」に関する提言をとりまとめました~激甚化・頻発化する水災害に対する新たな治水対策の一つとして~(国交省)

近年、日本各地で発生する豪雨や台風などの自然災害は、頻度と規模の両面で激甚化しており、これにより多くの地域で浸水被害が発生しています。気候変動の影響がその一因とされており、今後もこの傾向が続くことが予測されています。こうした状況に対処するため、従来の治水対策だけでなく、新たな視点からの対策が求められています。その一つとして注目されているのが、河川の地下空間の活用です。本提言では、地下空間を活用した治水対策について、現状の課題と今後の方向性について詳述します。

豪雨や台風による水災害は、日本全国で大きな社会経済的被害をもたらしています。気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化は、今後さらに顕著になると予想されており、従来の治水対策では対応が難しい状況が生じています。国土交通省は、河川の堤防強化やダム建設、遊水地の整備などの従来型の治水対策に加え、流域全体での治水対策、いわゆる「流域治水」を推進しています。

しかし、こうした対策にも限界があることから、地下空間の活用が注目されています。地下空間の活用は、洪水調節機能の強化や河道の流下能力の増加策として有効であると考えられていますが、その整備および維持管理には高いコストがかかるという課題があります。これらの課題を解決するために、最新の技術的知見を集約し、効果的な地下空間活用策を検討することが重要です。

近年の水災害の激甚化・頻発化に対応するため、河川整備基本方針や河川整備計画の見直しが行われています。河道掘削や堤防の引堤、ダムの嵩上げなど、さまざまな対策が講じられてきましたが、都市部などでは用地の確保が難しく、これらの対策には限界があります。一方で、河川の地下空間を利用した治水対策、例えば地下放水路や貯留施設の整備が注目されています。こうした地下空間の活用は、地形的条件や社会的影響を最小限に抑えながら効果を発揮することが期待されます。しかし、地下構造物の整備や維持管理には高いコストがかかることが課題です。また、施工時には河川管理施設への影響を最小限に抑える必要があります。

地下空間の有効活用に向けた提言としては、河川の地下空間の縦断方向の活用が挙げられます。現在、河川管理者が必要な箇所において地下構造物を整備する事例は少ないですが、設置に際しては河川管理施設への影響を最小限に抑えることが重要です。国内外の先行事例を参考にしながら、技術的知見を集約し、河川縦断方向の地下構造物整備を推進することが求められます。また、都市部などでは様々な利用が想定されるため、地下空間の利用に関するルール化が必要です。モデル河川でゾーニングを検討し、効率的な地下空間の利用を推進することが重要です。

さらに、異なる事業者と共同で施設整備を行うことで、限られた地下空間を効率的に利用する事例があります。公共施設との共同整備の事例を整理し、周知することで、他事業との連携を推進します。河川区域外の施設との連結や、他の施設に新たな貯留機能を確保する際の課題と対策を整理し、周知します。用途廃止される地下施設を活用し、貯留機能を確保することも検討します。

地下構造物の整備に伴う変状は施工時に発生するリスクが高いため、施工時のモニタリング方法や基準を充実させることが重要です。また、施工費を縮減することで維持管理費が高くなる事例があります。トータルコストの縮減に配慮した施設整備を行うための基準類を充実させることが求められます。さらに、河川トンネルなどの設計・施工・維持管理を経験した技術者が不足しているため、技術者の育成が必要です。技術相談窓口の設置や技術研修の実施を検討します。

気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化に対応するためには、従来の治水対策だけでは不十分であり、新たな視点からの対策が求められます。河川の地下空間の活用は、その一つとして期待されていますが、整備および維持管理には高いコストがかかるという課題があります。これらの課題を克服するために、最新の技術的知見を集約し、効率的かつ効果的な地下空間活用策を推進することが重要です。以上の提言を基に、浸水被害軽減に向けた河川の地下空間活用が進展し、治水安全度と利便性の向上が図られることを期待します。

総じて、浸水被害軽減に向けた地下空間活用の取り組みは、気候変動の影響により増加する水災害に対する新たな治水対策として有望です。地下空間の活用により、都市部の治水対策が強化され、洪水被害の軽減が期待されます。従来の対策だけでなく、新しい技術や知見を取り入れることで、より効果的かつ効率的な治水対策を実現することが求められます。河川の地下空間活用が進むことで、日本全国の治水安全度が向上し、浸水被害が減少することを願っています。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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