2024年8月12日
労務・人事ニュース
2024年上半期の農林水産物輸出、前年比1.8%減少で7,013億円達成
「2024年1-6月(上半期)の農林水産物・食品の輸出実績」について(農水省)
2024年1月から6月の期間における日本の農林水産物・食品の輸出実績が、農林水産省によって取りまとめられました。全体の輸出額は7,013億円に達しましたが、これは前年同期と比較して1.8%の減少となり、132億円の減少が見られました。
特に、中国と香港向けの輸出が大きく落ち込んでおり、それぞれ43.8%と10.5%の減少が報告されています。この背景には、昨年夏にALPS処理水放出が行われた後から、中国と香港の両市場で日本産食品への需要が低迷していることが挙げられます。一方で、これらの市場以外の国・地域向けの輸出は14.3%の増加を記録しており、全体的な輸出減少を一部相殺する形となりました。
品目別の輸出動向では、農産物が前年比で5.7%増加し4,574億円を達成しました。これには、日本食の普及に伴い、欧米市場での需要が増加したソース混合調味料や、健康志向の高まりから抹茶などの需要が増えた緑茶が大きく寄与しています。これに対して、水産物の輸出は19.3%減少し、特に中国市場での需要減退が影響を与えています。
輸出先別に見ると、アメリカが輸出額でトップとなり、前年の3位から1位に浮上しました。続いて、香港と中国がそれぞれ2位と3位に位置しています。特にアメリカ市場では、円安による価格競争力の向上も相まって、日本産農産物の需要が堅調に推移していることが輸出額の増加につながっています。
また、品目別にみると、ソース混合調味料や緑茶のほか、ビールや植物性油脂なども増加しており、特に欧米市場での需要拡大が顕著です。一方、ホタテ貝やなまこ、ウイスキーなどの水産物やアルコール飲料は、中国や香港での輸入制限や景気減速の影響で大幅に減少しました。
全体として、農林水産物・食品の輸出は中国と香港市場での困難を抱えつつも、その他の市場での健闘が見られます。今後も世界の市場動向や為替レートの影響を注視しながら、輸出戦略の見直しが必要となるでしょう。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ