2024年11月6日
労務・人事ニュース
2024年中小企業の景況が改善、売上DIは21.1ポイントまで上昇の見通し
全国中小企業動向調査結果(2024年7-9月期実績、2024年10-12月期以降見通し)(日本公庫)
今回の調査結果は、中小企業の景況に関する最新のデータを基に、現在の経済動向を分析しています。特に2024年7月から9月期において、業況判断DIが前期に比べて改善傾向にあることが分かります。中小企業の景況は引き続き持ち直しの動きを見せており、来期以降も業績が向上する見通しです。一方で、企業の規模や業種により差があり、製造業と非製造業で異なる傾向が見られます。
まず、業況判断DIに関しては、前期(2024年4月から6月期)の数値が5.0であったのに対し、今期(2024年7月から9月期)はさらに上昇し、10.8となっています。特に、製造業においては上昇傾向が顕著であり、鉄鋼や電気機械、はん用機械などの分野で業績が向上しています。一方、非製造業も改善しており、建設業やサービス業、倉庫業などでの上昇が見られます。これにより、全体としては中小企業の景況感が回復していることが確認できます。
売上DIに関しては、製造業・非製造業共に改善傾向が続いています。製造業では特に自動車部品関連の企業での売上増加が目立ち、全体のDIが大きく引き上げられました。これにより、売上DIは10.8ポイントから21.1ポイントへと大幅に上昇する見通しとなっています。さらに、2025年1月から3月期には23.5ポイントに達する見込みです。これらのデータは、企業の売上が今後も安定的に増加していくことを示しています。
次に、採算DIに関してですが、前期の数値は▲17.0ポイントであり、今期はわずかに改善して▲16.5ポイントとなりました。採算性の向上は売上増加に伴うものであり、企業の利益率も上昇しています。来期以降も、製造業・非製造業ともに採算DIが改善する見通しです。特に、製造業の利益率DIはマイナスからプラスに転じる見込みであり、企業の経営状況がさらに安定していくと考えられます。
資金繰りDIに関しては、依然として厳しい状況が続いています。前期の数値は▲22.9ポイントであり、今期も同様の水準を維持しています。中小企業にとって資金繰りの悪化は深刻な問題であり、特に民間金融機関からの借入が困難な状況が続いています。借入DIも前期の▲15.3ポイントからほぼ横ばいの状態であり、資金調達の難しさが浮き彫りになっています。この点については、政府や金融機関によるさらなる支援策が求められるところです。
また、当面の経営上の問題点として、売上不振が最大の課題であることが示されています。全体の35.2%の企業が売上不振を挙げており、次いで原材料高(18.3%)、利益減少(16.3%)が主要な問題となっています。これに対して、設備老朽化や求人難などの問題も一部の企業で見られますが、売上の確保が最も優先される課題であることが明確です。
設備投資に関しても、一定の回復が見られます。設備投資を実施した企業の割合は14.1%であり、前期から1.0ポイントの上昇となっています。これは、業績改善に伴う投資意欲の高まりを反映しており、今後もさらなる投資拡大が期待されます。特に製造業においては、設備投資の増加が顕著であり、2024年後半にかけて投資計画が進展する見通しです。
さらに、地域別の業況判断DIを見ても、ほとんどの地域で改善が見られます。四国以外の8地域で業況判断が上昇しており、特に北海道や東北地方では大幅な改善が確認されています。来期以降も、多くの地域で業績の回復が予想されており、地域経済の活性化が期待されています。
まとめとして、2024年7月から9月期の中小企業の景況は、全体として持ち直しの傾向にあります。業況判断DIや売上DIが上昇し、今後も企業の業績が改善する見通しです。しかし、資金繰りや借入に関しては依然として厳しい状況が続いており、これに対する対策が急務です。また、売上不振や原材料高といった経営上の問題も引き続き課題として残っています。中小企業がさらなる成長を遂げるためには、これらの問題を克服し、安定した経営基盤を築くことが必要です。
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