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2024年8月27日

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2024年労働災害発生状況 死亡者数366人、建設業での事故が15.4%増加し危険度が高まる

労働災害発生状況2024年8月(厚労省)

令和6年8月19日に発表された労働災害発生状況の速報値は、企業の安全管理において重要な指標となるものでした。今年1月から7月末までに報告された労働災害について、全体の死亡者数は366人に達し、前年同期比で6人、約1.7%増加しています。これらの統計は、企業の安全対策の見直しや労働環境の改善が求められていることを示しています。

業種別に見ると、建設業での死亡者数が120人と最も多く、前年同期比で16人増加しており、増加率は15.4%にも及びます。これは、現場での安全対策が十分に機能していない可能性を示唆しており、早急な改善が必要とされています。また、製造業では68人の死亡者が報告され、前年同期比で4人減少しましたが、それでも依然として高い数値です。林業においても、17人の死亡者が発生し、前年同期比で1人増加しました。陸上貨物運送事業においては54人が死亡し、前年同期比で2人増加しています。第三次産業では87人の死亡者が報告され、前年同期比で6人減少しましたが、依然として多くの労働者が命を落としている状況です。

事故の型別に見ると、「墜落・転落」による死亡者が109人と最も多く、前年同期比で15人、16.0%の増加が見られました。この数値は、高所作業や足場の安全対策が依然として課題であることを示しています。次いで、「はさまれ・巻き込まれ」による事故が63人で、前年同期比で4人減少していますが、まだまだ予防策の強化が求められます。また、「交通事故(道路)」による死亡者は51人で、前年同期比で19人、27.1%の大幅な減少が見られました。これらのデータは、企業が直面している安全リスクの傾向を明らかにしており、各種事故に対する対策の優先順位を示唆しています。

さらに、休業4日以上の死傷者数は全体で65,548人に達し、前年同期比で1,335人、2.1%増加しています。このデータは、企業にとって労働災害が労働力の損失や生産性の低下を引き起こす重要な要因であることを強調しています。業種別に見ると、製造業での死傷者数が13,299人と最も多く、前年同期比でわずか1人の増加にとどまっているものの、その数値の高さは依然として深刻な状況です。また、建設業では6,807人の死傷者が報告され、前年同期比で104人減少しましたが、依然として安全対策の強化が必要です。陸上貨物運送事業では8,250人の死傷者が発生し、前年同期比で210人、2.6%の増加が見られます。第三次産業では33,293人の死傷者が報告され、前年同期比で1,195人、3.7%増加しています。

事故の型別に見ると、「転倒」による死傷者数が17,983人と最も多く、前年同期比で222人、1.2%の増加が見られました。次いで、「墜落・転落」が10,189人で、前年同期比で158人、1.6%増加しています。「動作の反動・無理な動作」による死傷者も10,016人と多く、前年同期比で221人、2.3%の増加が確認されました。これらのデータは、企業にとって従業員の安全を確保するための課題が依然として多いことを示しており、今後の安全対策の強化が急務であることを強調しています。

企業の安全担当者にとって、これらのデータは日々の業務におけるリスク評価や対策の策定に不可欠な情報です。労働災害の発生状況を把握することで、具体的な対策を講じることができ、従業員の安全を守るための取り組みを強化することが可能になります。また、業種や事故の型別に発生する傾向を分析することで、リスクが高い領域に重点を置いた安全対策を策定することが求められます。

企業がこれらのデータを活用して安全対策を強化することで、労働災害の発生を未然に防ぐことができ、従業員の安心と信頼を確保することが可能になります。特に、建設業や製造業といった高リスクの業種では、現場での安全意識の向上や設備の安全性確保が不可欠です。また、陸上貨物運送事業や第三次産業においても、従業員の健康と安全を守るための取り組みを強化することが求められます。これにより、労働災害の発生を減少させ、持続可能な事業運営を実現することが可能となります。

最後に、労働災害の発生状況に関するデータは、企業の社会的責任(CSR)にも直結しています。安全な労働環境を提供することは、企業の評判を高め、従業員の満足度を向上させる要因となります。また、安全対策に積極的に取り組む企業は、労働市場においても魅力的な雇用主として認識されることでしょう。そのため、これらのデータを基にした適切な安全対策の実施が、企業の長期的な成長と発展に寄与することは間違いありません。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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