2024年12月28日
労務・人事ニュース
2024年問題を迎える物流業界における労働時間短縮の影響と生産性向上のために必要な3つのアクション
第55回運輸セミナーを開催(2024年12月6日)(運輸労連)
2024年12月6日、全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連)は、第55回運輸セミナーを全日通霞が関ビルからWEB配信形式で開催しました。このセミナーには、全国から221名が参加し、2025年春季生活闘争に向けた課題や認識が共有されました。
冒頭の挨拶に立った成田中央執行委員長は、まず2024年の能登半島地震や豪雨で被害を受けた方々に哀悼の意を示し、一刻も早い復興を祈念するとともに、防災や減災の取り組みの重要性を強調しました。また、アメリカのトランプ氏再選について、「アメリカファーストの政策が日本にも影響を及ぼしている」と指摘し、日本政府に対して国益を守るための粘り強い外交努力を求めました。国内政治に関しては、石破政権の発足後に行われた衆議院選挙で立憲民主党が大幅に議席を伸ばしたことを受け、「政権を担える力を示してほしい」と期待を寄せました。
セミナーの中では、物流業界にとって大きな転機となる「2024年問題」が取り上げられました。この問題は、トラックドライバーの時間外労働規制や改正改善基準告示の適用により、労働環境や物流効率化が問われる状況を指します。成田委員長は、課題解決に向けた取り組みが進む一方で、依然として改善が必要な点が多いと指摘し、「物流の価値を再認識し、適正な運賃や料金を確保することが、業界全体の労働環境の向上につながる」と述べました。
2025年春季生活闘争方針では、統一要求基準として、基準賃金に定期昇給相当分1.5%と賃金改善分4.5%を加えた6.0%増、具体的には「1万5,500円中心」とする構想が示されました。2025年を「物流改革や働き方改革を確実に進める重要な年」と位置付けた成田委員長は、参加者に向けて共通の目標に向かって活動を進めるよう呼びかけました。
セミナーの第1講演では、日本労働組合総連合会総合政策推進局の仁平章局長が「連合2025春季生活闘争方針」について解説しました。仁平氏は、2023年が「転換点」、2024年が「ステージ転換の一歩」と位置付けられる中で、2025年は「新たな経済社会のステージを定着させるための年」とし、賃上げによる社会全体への波及効果を目指す重要性を述べました。
続く第2講演では、立教大学経済学部の首藤若菜教授が「物流『2024年問題』の現状と課題」について講演しました。首藤教授は、時間外労働の短縮が物流業界の生産性向上への契機となっている事例や、労働組合が果たすべき役割について詳細に解説し、業界全体の課題解決に向けた道筋を示しました。
⇒ 詳しくは全日本運輸産業労働組合連合会のWEBサイトへ