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2024年10月8日

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2024年度賃金調査:企業の67.6%が賃上げを実施、3%以上の引き上げが64.6%に急増

業況DIは、改善を示すも、消費の弱さで力強さ欠く。先行きは、内需の伸び悩み懸念から、慎重な見方(LOBO調査)

2024年度の賃金動向に関する調査によると、所定内賃金の引き上げを実施した企業が前年同月比で増加し、全体の67.6%に達しました。この数値は、2023年9月調査時点の64.4%から3.2ポイント上昇しており、企業の多くが厳しい経営環境下でも賃上げを行っていることが示されています。この増加は、過去最高の実施率であり、企業が従業員の定着やモチベーション向上のために賃上げを避けられない状況であることが伺えます。

賃金を引き上げた企業のうち、業績が改善しているために「前向きな賃上げ」を実施した企業は36.5%で、前年同月比でわずか0.3ポイントの増加にとどまっています。一方で、業績の改善がみられないにもかかわらず、「防衛的な賃上げ」を行った企業は63.5%と、依然として6割を超えている状況です。これにより、業績が芳しくない中小企業であっても、従業員の離職を防ぐために賃上げを行わざるを得ない現実が浮き彫りとなっています。

2024年度においては、給与総額の引き上げ率が3%以上の企業が64.6%に達し、前年同月調査から11.9ポイント増加しました。この調査では、初めて6割を超える企業が3%以上の賃上げを実施しており、物価上昇に対抗するための賃金調整が進められています。特に、企業が賃上げを行う主な理由として、「人材確保や定着、モチベーション向上」が84.6%と最も多く挙げられており、これは人手不足の深刻さを背景にしています。物価上昇を理由に挙げる企業も依然として41.5%と高い水準にあるものの、前年同月比で11.7ポイント低下しています。

業種別に見ると、建設業(75.9%)や製造業(73.7%)が賃上げを実施する企業の割合として高水準である一方、小売業(56.1%)やサービス業(63.6%)は相対的に低水準にとどまっています。また、従業員数が少ない企業ほど賃上げを実施する割合が低い傾向が見られ、9人以下の企業では45.3%、101人以上の企業では88.1%という大きな格差が存在しています。さらに、2024年10月から最低賃金が全国で加重平均51円(5.1%)引き上げられることにより、「最低賃金の引き上げ」を理由に挙げる企業は37.1%となり、前年同月比で6.8ポイント増加しています。

また、企業の業況DI(業況判断指数)は、2024年9月において▲14.1であり、前月比で1.3ポイント改善しました。しかしながら、企業経営においては、原材料や輸送費等のコスト増が続いており、最低賃金の引き上げや深刻な人手不足、価格転嫁の遅れなど、経営の足かせが多いことが指摘されています。特に、長引く物価高に伴う個人消費の低迷を懸念する声が依然として強く、中小企業にとっては厳しい経営環境が続いています。

製造業においては、自動車の生産回復や電子機器関連の需要が堅調であるため、業況は改善傾向にあります。一方で、小売業やサービス業では消費者の節約志向が根強く、インバウンドや国内観光需要の恩恵を受けているものの、個人消費の弱さが業績を押し下げています。特に、小売業では、電気代や輸送費の高騰がコストを圧迫し、業績の回復が限定的であることが課題となっています。

地域別では、建設業や製造業が堅調に推移している北海道や北陸信越地方で業況が改善しています。これに対し、東北地方では、公共工事や民間工事の受注減少により売上と採算が悪化している状況です。九州では、台風上陸による被害や残暑の影響で、レジャーや観光需要が低迷し、サービス業全体で業績が悪化している一方、高賃金の外資系企業との賃金格差により人材確保が難しくなっているという課題が浮上しています。

2024年9月の賃金調査結果は、企業が厳しい経営環境に直面している中でも、人材確保や定着を優先して賃金を引き上げる姿勢が顕著に表れたものとなっています。特に、中小企業においては、賃上げの原資を確保するために価格転嫁を進めているものの、依然として収益確保が難しい状況に直面していることがわかります。従業員数や業種ごとの賃上げ実施状況に大きな差があり、最低賃金引き上げや物価上昇が経営に与える影響も無視できないものとなっています。

⇒ 詳しくはLOBO調査のWEBサイトへ

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