2024年11月23日
労務・人事ニュース
2024年10月の景気ウォッチャー調査結果:現状DIが47.5に低下、回復基調続くも地域差大
令和6年10月調査(令和6年11月11日公表):景気ウォッチャー調査(内閣府)
令和6年10月の景気ウォッチャー調査結果によると、全国的な景気動向は緩やかな回復基調にある一方で、一部の指標では低下が見られました。現状判断DI(季節調整値)は47.5と、前月より0.3ポイント低下し、2か月連続の減少となりました。家計動向関連DIではサービス関連の上昇が見られたものの、住宅関連の大幅な低下により全体的な指標は下降しました。一方、企業動向関連DIは製造業の改善によりわずかに上昇しました。また、雇用関連DIについても上昇を記録しています。
全国の先行き判断DI(季節調整値)は48.3と、前月から1.4ポイント低下しました。この減少は家計動向、企業動向、雇用関連すべてのDIが低下したことによるものです。家計動向関連では、小売や住宅関連での低調さが特に顕著で、企業動向関連では製造業および非製造業の双方が低下しました。雇用関連では、求人数の減少と雇用条件のミスマッチが懸念されています。
地域別の分析では、現状判断DIの変動幅が地域ごとに大きく異なることが分かりました。沖縄では前月比5.7ポイントの上昇を記録した一方、北海道は2.9ポイント低下しています。特に住宅関連の需要低迷や観光客数の減少が、北海道の低下要因とされています。一方で、沖縄では観光需要の回復が大きな要因とされています。
企業動向関連では、製造業を中心に一部の地域で改善が見られました。例えば、半導体関連や再生可能エネルギー分野への民間投資が、景気を下支えする要因となっています。一方で、原材料費の高騰や輸送費の増加により、収益圧迫が続いている分野もあります。
雇用関連では、人材不足が依然として課題となっており、特に専門職や高度なスキルを要する職種で求人が難航しています。また、最低賃金の引き上げや社会保険料負担の増加が企業側の雇用活動に影響を与えています。
先行きについては、回復の兆しを示す分野もある一方で、不確実性が依然として高い状況です。価格上昇の影響や国際経済情勢の不安定さが、消費活動や投資判断に影響を及ぼしています。特に、輸入品価格の上昇が国内製品の競争力を高める一方で、家計の負担増加に直結しています。
調査では、今後の経済活動に対する期待と懸念が交錯する中、各分野での政策支援の必要性が強調されています。政府による消費促進策や企業の競争力強化支援が、回復基調の加速に寄与すると考えられています。また、地域ごとの特性を踏まえた支援が求められています。例えば、観光産業が重要な沖縄では、訪日外国人客のさらなる誘致が求められており、一方で、工業製品の輸出が中心となる東海地域では、円安を活かした輸出促進策が重要視されています。
今回の調査結果を通じて、経済の不確実性が高まる中でも、回復基調が見られる分野をいかに活用するかが問われています。政策決定者や企業経営者は、地域ごとの特性や業種別の課題を的確に把握し、柔軟かつ迅速な対応を行うことが必要です。
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