2024年9月30日
労務・人事ニュース
2024年10月施行の改正景品表示法により企業のリスク管理が重要に!課徴金1.5倍加算と新たな罰則で違反抑止力が大幅強化
令和5年改正景品表示法に関する解説動画を掲載しました。(消費者庁)
2024年10月1日から施行される改正景品表示法は、消費者庁が事業者の自主的な取り組みを支援しつつ、違反行為に対する抑止力を強化し、円滑な法執行を実現するために改正された法律です。この改正は、一般消費者の利益をより一層保護することを目的としており、事業者にとっても法令遵守を確実にするための大きな転機となるでしょう。改正法の主なポイントは、事業者の自主的な取組の促進、違反行為に対する抑止力の強化、そして国際化の進展に対応する規定の整備です。
まず、事業者の自主的な取組を促進するための「確約手続」の導入が重要な変更点です。これにより、優良誤認表示や有利誤認表示の疑いがある場合でも、事業者が自主的に是正措置計画を作成・申請し、内閣総理大臣から認定を受けることで、措置命令や課徴金納付命令の適用を免れることができる制度が創設されました。この制度は、迅速に問題を改善するための手段として期待されており、違反行為を早期に是正し、再発防止策を講じる事業者にとっては非常に有益です。また、第三者型前払式支払手段、いわゆる電子マネーを用いた返金措置も許容されるようになり、消費者への迅速かつ効率的な対応が求められる時代に対応しています。
一方で、違反行為に対する抑止力を強化するため、改正法では新たな罰則や課徴金制度の見直しが行われました。特に、過去に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して、再度違反行為を行った場合、課徴金が1.5倍に加算される規定が新設されました。これにより、悪質な事業者に対する抑止力が格段に強化されます。また、優良誤認表示や有利誤認表示を故意に行った場合には、罰金100万円以下の直罰が科されることとなり、従来の行政処分だけではなく、刑事罰も視野に入れた対応が可能となりました。このように、事業者の不正行為に対する監視が一層厳しくなっています。
さらに、国際化の進展に伴い、措置命令等に関する送達制度の拡充や外国の執行当局との情報共有が進められることとなりました。これにより、国際的なB2C取引においても、消費者の保護が強化されることが期待されます。特に、外国の事業者による不当表示や誤認表示に対しても、日本国内での消費者保護が確保されるよう、外国当局との協力が強化されます。
これらの改正点は、消費者保護を強化すると同時に、事業者に対しても法令遵守を徹底する重要な要素となります。改正景品表示法は、消費者庁が消費者の利益を守るための一環として取り組んできた成果であり、事業者にとっても違反を未然に防ぐための重要な指針となるでしょう。
また、適格消費者団体による表示に関する開示要請制度の導入も見逃せないポイントです。適格消費者団体が、事業者が行う表示が不当であると判断した場合、その根拠を求めることができるようになり、事業者はこれに応じる努力義務を負います。この制度は、消費者保護をさらに強化するものとなり、事業者側もその対応に迫られるでしょう。
改正景品表示法に基づく新制度は、事業者に対しても明確なガイドラインを提供し、法令違反を回避するための道筋を示しています。特に、事業者が自主的に違反を是正し、消費者に対して誠実な対応を行うことが強く求められるようになっています。また、違反行為が確認された場合には、迅速な対応が求められ、事業者が適切な措置を講じなかった場合には、厳しい処罰が科される可能性があります。
このような背景から、事業者は、改正法に基づくコンプライアンス体制の整備が急務となっています。企業内でのコンプライアンスの強化だけでなく、従業員や取引先に対しても周知徹底を図り、違反行為の再発を防止するための取り組みが必要不可欠です。また、景品表示法に関連するリスク管理の徹底も求められており、特に広告や表示に関する審査体制の強化が重要です。
企業が今後、消費者からの信頼を維持・向上させるためには、改正景品表示法に基づく法令遵守が不可欠です。事業者にとっては、違反リスクを未然に防ぐための体制を整えることが競争力の維持・向上につながるでしょう。
⇒ 詳しくは消費者庁のWEBサイトへ