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2024年8月21日

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2024年10月5日から福岡県最低賃金が1時間992円に-前年対比51円の上昇

福岡県最低賃金の51円引上げを答申(福岡労働局)

福岡県では、最低賃金の大幅な引き上げが発表されました。福岡地方最低賃金審議会が福岡労働局長に対して行った答申に基づき、県内の最低賃金が51円引き上げられ、1時間あたり992円となることが決定しました。この新しい最低賃金は、2024年10月5日から施行される予定です。

今回の最低賃金引き上げは、中央最低賃金審議会が示した50円の目安に1円を追加したものであり、引き上げ率は5.42%となります。これは、近年の消費者物価の上昇や福岡県内の経済・雇用情勢を総合的に考慮した結果といえます。特に、物価上昇が労働者の生活に与える影響が大きく、この点を十分に考慮して審議が行われました。その結果、最低賃金が生活保護費を下回らないようにすることが重要視されました。

さらに、今回の答申には、中小企業や小規模事業者への支援策が付帯決議として盛り込まれています。これには、賃上げの原資を確保するための「パートナーシップ構築宣言」の拡大や、エネルギー費や原材料費の価格転嫁の推進が含まれています。特に、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁を定着させるために、下請法の執行強化が必要とされています。BtoC事業においては、価格転嫁率が相対的に低いという課題があり、この点についても消費者に理解を求める取り組みが求められています。

また、中小企業や小規模事業者の収益力を改善し、事業承継を支援するための施策が強化されます。これには、労働生産性向上に向けた設備投資を促進する税制や、省力化投資の補助金などが含まれています。特に、賃上げを実現するための税制優遇や補助金の活用が奨励され、ものづくり補助金や事業再構築補助金を通じた生産性向上への支援が一層強化されます。最低賃金の引き上げによる影響を受ける中小企業や小規模事業者が、これらの支援を効果的に活用できるように、業務改善助成金の運用改善と制度の拡充が進められる予定です。

最低賃金引き上げが企業経営や地域の雇用に与える影響についても、都道府県別や産業別に詳細な調査・研究が行われる予定です。この調査結果をもとに、最低賃金の適切な水準や決定方法についての議論が進められ、将来的な改定に向けた基礎資料として活用されることが期待されます。また、地方における最低賃金審議会及び専門部会の調査審議の充実が図られ、最低賃金の改定がより迅速かつ適切に行われるよう、審議日程の改善も求められています。

福岡県における最低賃金の改定は、全ての労働者に影響を与える重要な決定です。パートタイム労働者や臨時雇用者を含む幅広い労働者層に適用されるため、多くの人々の生活に直接的な影響を及ぼします。最低賃金の引き上げは、労働者の生活の質を向上させるだけでなく、地域経済にも影響を与える可能性があります。一方で、企業側にはコスト増加の懸念もあり、このバランスを取るための支援策が重要となります。

最低賃金の推移を見ると、福岡県では近年、毎年着実に引き上げが行われています。平成29年度には789円だった最低賃金が、今回の改定で992円にまで上昇しました。特に、令和元年度以降は引き上げ幅が拡大しており、労働者の生活保障と企業の競争力のバランスを図るための政策が進められています。

今後、最低賃金引き上げに伴う労働市場や企業経営の変化に注視しつつ、地域経済の発展と労働者の生活向上がどのように実現されていくのか、その動向が注目されます。福岡県内の事業者や労働者にとって、この改定は新たな挑戦と機会を提供するものであり、社会全体での理解と協力が求められます。

⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ