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2025年2月15日

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2024年12月の住宅着工統計 建設業界の最新動向と採用市場への影響

建築着工統計調査報告(令和6年12月分)(国交省)

2024年12月の住宅着工統計が発表され、建設業界の現状が明らかになった。このデータは、企業の採用戦略を検討する上でも重要な示唆を与える。統計によると、新設住宅着工戸数は62,957戸となり、前年同月比2.5%減少し、8か月連続の減少となった。季節調整済みの年率換算値では787千戸となり、前月比1.6%増加したものの、全体的には低迷が続いている。特に分譲住宅の減少が影響を与えた形だ。

持家の着工数は17,821戸で前年同月比4.6%増加し、3か月連続の増加となった。民間資金による持家は16,399戸で5.3%増、公的資金による持家は1,422戸で2.4%減少した。貸家の着工数は26,424戸で前年同月比2.1%増、分譲住宅は18,182戸で前年同月比14.7%減と、大幅な落ち込みが見られる。特にマンションの着工数が7,550戸と前年同月比22.3%減となり、一戸建住宅も10,513戸で8.3%減少したことが影響している。

地域別に見ると、首都圏の総戸数は前年同月比12.2%減となり、分譲住宅が28.8%減と特に大きな影響を受けた。中部圏は0.7%減と比較的安定しているが、分譲住宅は5.2%減。近畿圏では11.2%増となり、分譲住宅が21.8%増加した点が特徴的だ。一方で、その他の地域では1.1%増加したものの、分譲住宅は10.8%減となった。

この住宅着工数の減少は、建設業界全体の採用動向にも影響を与える可能性が高い。特に、分譲住宅の落ち込みが続く中で、不動産業界や住宅販売に関連する企業では、今後の事業戦略の見直しが求められる。逆に、持家や貸家の市場は依然として安定しており、これらの分野に特化した人材採用がカギとなるだろう。

また、建築工法別では、プレハブ住宅が7,598戸で前年同月比2.1%増と19か月ぶりの増加を記録。ツーバイフォー工法も7,156戸で前年同月比0.1%増となり、再び増加傾向に転じた。このことから、プレハブ住宅の技術者やツーバイフォー建築に精通した人材の需要が今後高まる可能性がある。

さらに、非住宅分野の着工床面積も注目すべきポイントだ。全建築物の着工床面積は803万㎡となり、前年同月比7.8%減少。公共の建築主による着工床面積は43万㎡で前年同月比53.2%増と大幅な増加を見せたが、民間の建築主による着工床面積は760万㎡で前年同月比9.8%減少し、14か月連続の減少となった。特に、事務所の着工面積は28万㎡と前年同月比68.6%減と大きく落ち込んでいる。

一方で、情報通信業向けの建築床面積は5万㎡で前年同月比128.9%増、金融・保険業向けも2万㎡で41.6%増と成長している。これらの業界では、オフィス需要の変化や新たな設備投資が進んでおり、採用市場にも影響を与える可能性がある。

企業の採用担当者にとって、これらのデータは今後の採用戦略を考える上で非常に重要な指標となる。例えば、住宅市場の低迷が続く中で、建設業界の人材需要は減少する可能性があるが、一方で特定分野の成長が見込まれるため、専門スキルを持った人材の確保がますます重要となる。プレハブ住宅の技術者やツーバイフォー建築の専門家、情報通信・金融関連の不動産開発に関わる人材の採用は、今後の競争力強化に不可欠となるだろう。

さらに、地域ごとの建築動向を見極めることも重要だ。近畿圏では住宅市場が回復傾向にあり、特に分譲マンションの着工数が増えていることから、この地域での建築・不動産関連の採用は積極的に進めるべきだろう。一方で、首都圏の分譲住宅市場は低迷しており、今後の事業戦略を柔軟に調整する必要がある。

このように、2024年12月の住宅着工統計は、建設業界の変化を映し出す重要なデータとなった。企業の採用担当者は、このデータを活用しながら、今後の採用戦略を慎重に検討し、市場の変化に適応することが求められる。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ