2025年2月12日
労務・人事ニュース
2024年12月の埼玉県有効求人倍率は1.20倍!求人数増加で企業の採用競争がさらに激化
埼玉労働市場ニュース(令和6年12月分)(埼玉労働局)
埼玉労働局が公表した最新の労働市場データによると、県内の雇用情勢には依然として課題があるものの、徐々に改善の兆しが見られる。特に有効求人倍率は1.20倍と前月から0.01ポイント上昇しており、企業の採用意欲が一定の水準を維持していることがうかがえる。しかしながら、新規求人倍率は2.17倍と前月より0.21ポイント低下しており、新規求人数の減少が影響している。埼玉県内の雇用動向を踏まえた上で、企業が採用戦略をどのように立てるべきか、詳しく見ていく。
まず、現在の求人数と求職者数のバランスを確認すると、有効求人数は107,281人で前月比0.5%の増加。一方で、有効求職者数は89,080人で前月比0.4%減少となった。これにより、求職者よりも求人数が多い状況が続いている。これは企業側にとっては人材確保の競争が激化することを意味し、採用活動において給与や福利厚生の充実、働き方の柔軟性を打ち出す必要性が高まっている。
新規求人数に関しては35,948人で前月比3.8%減少しており、一方で新規求職者数は16,585人で前月比5.8%増加した。このため、新規求職者が増えているにも関わらず、新たな求人が減少している点が懸念される。特に、雇用形態別に見るとフルタイム求人は21,383人で前年同月比0.6%減少し、パート求人は13,968人で3.0%減少した。これは、企業が新規採用を抑制する動きが一部で見られることを示唆している。
産業別の求人動向を見ると、新規求人数が増加した業種としては宿泊業・飲食サービス業(前年同月比25.1%増)、教育・学習支援業(5.0%増)、医療・福祉(1.7%増)が挙げられる。一方で、新規求人数が減少した業種は生活関連サービス業・娯楽業(25.0%減)、情報通信業(23.8%減)、学術研究・専門技術サービス業(15.4%減)などとなっており、業種による採用意欲の差が顕著になっている。
また、正社員求人の動向にも注目したい。受理地別の正社員有効求人倍率は0.99倍で前年同月比0.08ポイント上昇し、就業地別の正社員有効求人倍率は1.11倍で0.11ポイント上昇した。これは、正社員としての雇用が引き続き安定していることを示しているが、一方で新規求職者のうち正社員希望者の割合は63.8%と前年同月比0.3ポイント低下している。企業側にとっては、パートや契約社員を希望する求職者の増加に対応するため、より柔軟な雇用形態の導入が求められるだろう。
さらに、雇用保険の状況を見ると、雇用保険被保険者数は1,616,288人で前年同月比0.8%増加し、雇用保険受給者実人員は21,556人で0.3%減少した。このデータから、雇用保険に加入する労働者が増加傾向にあるものの、雇用保険の受給者数がわずかに減少していることがわかる。これは雇用の安定化が進んでいる可能性を示唆している。
企業の採用担当者にとって、これらのデータを踏まえた採用戦略の策定が重要となる。特に、求職者が増加傾向にある業種では、人材の確保が比較的容易である一方で、求人が減少している業種では競争が激化している。そのため、給与水準の見直しや福利厚生の強化、フレキシブルな働き方の導入といった対策を講じることが求められる。特に、新規求職者の増加が続く中で、企業は求職者のニーズに合わせた魅力的な求人情報を提供することが重要だ。
最後に、今後の雇用市場の動向を予測すると、物価上昇や経済状況の変動が引き続き影響を及ぼす可能性がある。企業は採用活動を積極的に行うと同時に、社内の人材育成にも注力し、長期的な視点で労働力の確保を図ることが求められる。埼玉県の労働市場の変化を注視しながら、企業の競争力を高めるための適切な採用戦略を検討することが重要だ。
⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ