2025年2月26日
労務・人事ニュース
2024年12月の建設受注額10兆7,883億円、9か月連続増加で市場が活況
建設工事受注動態統計調査報告(令和6年計分)(国交省)
2024年12月、日本の建設業界は過去10年間で最も活発な受注状況を迎えた。国土交通省の最新データによると、2024年12月の建設工事の総受注額は10兆7,883億円に達し、前年同月比で19.1%増加した。この急激な伸びは、特に公共工事と民間プロジェクトの両方で顕著な成長が見られたことによるものであり、業界全体の好調さを示している。
元請企業の受注額は6兆9,771億円で、前年比16.3%の増加を記録した。特に公共機関からの発注額は1兆7,220億円と安定した伸びを見せ、先月の減少から回復した。一方、民間企業からの受注額は5兆2,551億円に達し、前年同月比で20.8%の大幅な伸びを記録した。このことから、企業活動の活発化に伴う設備投資の拡大が建設需要の増加に寄与していると考えられる。
業種別に見ると、総合工事業が6兆6,485億円と28.1%増加し、10か月連続で成長を続けている。設備工事業も2兆7,211億円で12.4%増となり、特に大型ビルやインフラ関連の案件が増えていることが要因となっている。一方、職別工事業は1兆4,188億円で前年同月比2.2%減少し、6か月ぶりにマイナス成長を記録した。この減少は、人材不足やコスト高騰の影響を受けた専門職の減少が影響している可能性がある。
また、発注者別のデータを見ると、公共機関からの受注額は1兆6,290億円で、前年同月比2.0%の増加となった。特に政府関連企業等からの発注が2,669億円と前年同月比94.9%増と急増し、4か月連続の増加となった。これは、政府が推進するインフラ整備計画や災害復旧プロジェクトの影響が大きいとみられる。一方、地方自治体の発注は1兆1,353億円で前年同月比3.5%の減少となり、市区町村からの発注額も12.3%減少している。これは、自治体の財政状況や予算の制約が影響していると考えられる。
民間企業からの受注については、建築工事と建築設備工事の受注額が1兆8,603億円となり、前年同月比24.1%の増加を記録した。特に不動産業界からの発注が6,302億円と前年比92.5%の大幅な増加を示し、3か月連続で伸びを見せている。不動産市場の回復や大規模都市開発プロジェクトの増加が背景にあると考えられる。また、サービス業からの発注も5,198億円で141.2%の増加を記録し、オフィスビルや商業施設の建設需要が急拡大していることがわかる。
土木工事および機械装置工事の分野では、2024年12月の受注額が1兆1,555億円となり、前年同月比53.9%増という大幅な伸びを見せた。特に製造業からの発注が4,942億円と前年比99.9%増となり、工場の新設や生産設備の拡張が活発化していることを示している。また、不動産業界からの土地造成・埋立工事の発注が1,179億円で545.8%増加しており、新たな開発用地の確保が進んでいることがうかがえる。
地域別に見ると、関東エリアが5兆9,680億円と業界全体の32.1%を占めており、東京だけでも4兆2,644億円と27.9%の増加を記録している。特に神奈川県では、前年比69.5%の伸びを示し、再開発プロジェクトが進んでいることが背景にある。一方、九州・沖縄地域は前年同月比15.9%の減少となり、特に福岡県では39.1%の減少を記録した。これは、前年に比べて大型プロジェクトが減少したことが要因と考えられる。
今後の見通しについては、2025年も引き続き建設業界の受注は堅調に推移すると見られるが、一部の専門職の人手不足や資材価格の高騰が課題となる可能性がある。特に建築設備工事や特殊技能を要する職種では、技術者の確保が求められるため、企業の採用活動が活発化することが予想される。建設業界の成長に伴い、建設企業の人材確保の動きも加速しており、今後の採用市場の動向に注目が集まる。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ