2025年2月11日
労務・人事ニュース
2024年12月の徳島県有効求人倍率は1.14倍に上昇!正社員求人倍率1.12倍
最近の雇用失業情勢(令和6年12月分)(徳島労働局)
徳島労働局が発表した最新の雇用情勢によると、県内の有効求人倍率は1.14倍と前月をわずかに上回り、安定した雇用環境が維持されていることがわかった。特に正社員の有効求人倍率は1.12倍となり、前年同月を0.03ポイント上回る結果となっている。求人数が求職者数を上回る状態が続いているが、一部の業種では求人数の減少が見られ、雇用の需給バランスに注意が必要だ。
全国的な雇用動向を見ると、完全失業率は2.5%で前月と同水準を維持しており、安定した推移を示している。有効求人倍率は全国平均で1.25倍と依然として高い水準を保っており、求職者にとって比較的有利な環境が続いている。しかし、新規求人倍率は2.02倍と前月より0.45ポイント低下しており、新規の採用意欲にはやや減速感が見られる。
業種ごとの雇用動向を詳しく見ると、新規求人が増加している分野と減少している分野が明確に分かれている。特に建設業では前年同月比で45.7%増加しており、卸売業や小売業も29.5%の増加を記録している。また、金融業・保険業では88.9%の増加が見られ、人材確保の競争が激しくなっている。一方で、製造業では16.3%の減少、医療・福祉では12.7%の減少、宿泊業や飲食サービス業では27.0%の減少が見られた。特に宿泊業や飲食サービス業では、物価上昇や消費行動の変化が影響し、求人数の減少が続いている。さらに、製造業では景気の先行き不透明感が影響し、新規採用に慎重な姿勢をとる企業が増えている。こうした動向は、企業の採用計画に影響を与えると考えられ、特定の業種では求職者の競争が激しくなる可能性が高い。
地域別の求人倍率の違いも顕著であり、徳島県内でも地域ごとに有効求人倍率には差がある。県央地域では1.32倍と比較的高い水準を維持しているが、県西地域では1.00倍と低くなっており、地域ごとに雇用環境の違いが鮮明になっている。特に美馬市では有効求人倍率が0.80倍と低迷しており、雇用機会が限られていることがわかる。一方で、県南地域では1.18倍と安定した雇用状況が続いているが、業種によっては求人数が少なく、求職者の選択肢が限られることも考えられる。そのため、企業側も地域の雇用環境を考慮し、柔軟な採用戦略をとる必要がある。
求職者の動向を詳しく見ると、新規求職者数は前年同月比4.5%増となっており、特に自己都合離職者が0.8%減少していることが特徴的だ。これは、現職にとどまる人が増えている一方で、新しい職を求める人が増加していることを示している。企業にとっては、求職者がどのような条件を重視しているのかを理解し、魅力的な求人情報を提示することが重要となる。
特に注目すべき点として、正社員求人の割合が前年よりも2.2ポイント低下し、46.9%となったことが挙げられる。これにより、パートや契約社員の求人が増加している可能性があり、求職者の選択肢が変化していることがうかがえる。企業としては、長期的に優秀な人材を確保するためにも、正社員雇用の条件を見直し、求職者にとって魅力的な待遇を提示することが求められる。
また、業種ごとに求人倍率を見ても、保安職が7.67倍と特に人手不足が顕著であることがわかる。建設業の求人倍率は3.64倍、医療・福祉分野では3.24倍となっており、これらの業種では求職者にとって比較的採用されやすい環境が続いている。一方、事務職の求人倍率は0.64倍と低く、求職者にとっては競争が激しい状況が続いている。こうした状況を踏まえると、企業側としては採用活動を進める際に、業種ごとの求人倍率を考慮しながら、適切な採用戦略をとることが求められる。
今後の経済見通しについては、雇用や所得環境の改善が期待される一方で、海外経済の影響や物価上昇、金融市場の変動などのリスクがあることが指摘されている。特に欧米の高金利政策や中国の不動産市場の停滞などが日本経済に影響を及ぼす可能性があるため、企業としては慎重な経営判断が求められる。
採用に関しても、単に求人を出すだけではなく、求職者のニーズを的確に把握し、柔軟な雇用形態を取り入れることが重要である。例えば、短時間勤務やリモートワークの導入、研修制度の充実などを通じて、求職者が働きやすい環境を提供することが求められる。また、今後の雇用情勢が変化する可能性があるため、企業は労働市場の動向を常にチェックし、適切な採用戦略を講じることが不可欠だ。特に、求人倍率が高い業種では採用競争が激化するため、待遇面の改善や職場環境の整備を進めることが求められる。
企業の採用担当者が関心を持つ具体的なデータを活用しながら、採用戦略を見直すことが重要である。特に、地域や業種ごとの求人数の変動を正確に把握し、自社にとって最適な採用計画を立案することが求められる。今後の労働市場の変化に対応しながら、持続可能な雇用環境を維持することが、企業の成長にもつながると考えられる。
⇒ 詳しくは徳島労働局のWEBサイトへ