2025年2月12日
労務・人事ニュース
2024年12月の沖縄県有効求人倍率は1.12倍!企業の採用動向と求職者の動きとは?
「労働市場の動き」令和6(2024)年12月(沖縄労働局)
沖縄県の労働市場において、有効求人倍率は1.12倍と前月と同水準を維持しており、新規求人倍率は2.18倍と前月より0.16ポイント上昇している。この動向から、沖縄県内の企業が引き続き積極的な採用を行っていることが伺える。しかしながら、正社員の有効求人倍率は0.81倍にとどまり、企業が正社員採用を進める上での課題が浮き彫りとなっている。企業が新たな人材確保を進める一方で、求職者の動向はやや鈍化しており、月間有効求人数は31,474人で前月比0.5%減少し、月間有効求職者数も28,051人と0.3%の減少が見られる。これにより、沖縄県内における求職活動がやや減退傾向にあることが明らかになっている。
また、新規求人倍率が2.18倍と上昇していることから、企業側の採用意欲は引き続き強いことが確認できる。特に、新規求人数は11,391人で前月比4.6%増加しているものの、新規求職申込件数は5,215件と前月比3.1%減少しており、求職者の動きは必ずしも企業の採用活動と一致していない現状がある。これにより、一部の業種では求人が多く出されているにもかかわらず、求職者が十分に集まらないというミスマッチが生じている可能性がある。特に、サービス業では新規求人数が前年同月比で6.2%増加している一方で、卸売業や小売業では18.9%減少し、運輸業や郵便業も17.9%減少するなど、業種ごとに異なる動向が見られる。
正社員の有効求人倍率は0.81倍と、前年同月比で0.01ポイント上昇しているが、企業の採用戦略としては非正規雇用の活用が引き続き目立っている。正社員の月間有効求人数は12,358人で前年同月比2.7%減少しており、企業が正社員雇用を控える傾向が見て取れる。さらに、正社員の新規求人数は4,002人で前年同月比7.3%減少しており、特に新規採用における正社員枠の減少が顕著となっている。これに対して、パートタイムの月間有効求人数は10,398人で前年同月比4.2%減少し、新規求人数は3,535人と0.3%の減少にとどまっているため、企業が引き続きパートタイム採用に一定の需要を持っていることがわかる。
沖縄県内の雇用状況において、求職者側の動きにも変化が見られる。月間有効求職者数は25,916人で前年同月比2.3%減少しており、新規求職申込件数は3,731件で前年同月比4.1%の減少となっている。さらに、雇用保険受給資格決定件数は1,063人で前年同月比21.4%の減少を記録しており、これは求職者の就職活動がやや鈍化していることを示している。また、就職件数は1,099件で前年同月比12.1%減少しており、特に県内就職が1,001件と就職件数全体の91.1%を占めるものの、前年同月比13.8%減少している点が注目される。一方で、県外就職は98件と全体の8.9%を占め、前年同月比10.1%増加していることから、求職者の中には県外での就業を選択する動きも見られる。
沖縄労働局の発表によると、企業の採用活動は引き続き活発であるものの、業種によって求人動向に大きな差があることが分かる。特に、建設業、製造業、医療・福祉、サービス業の分野では引き続き高い求人需要がある一方で、宿泊業や飲食サービス業などの観光関連産業では新規求人数が15.7%減少するなど、人材確保に苦戦している状況も見られる。これは、観光業界の回復が全国平均と比較して遅れていることや、物価上昇の影響で求職者がより安定した業種を選択する傾向にあることが影響していると考えられる。
沖縄県内においては、ハローワークを活用した雇用対策も積極的に進められている。例えば、就職マッチングフェアの開催や、仕事と育児の両立を支援するプログラムが充実している。また、ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施によって、求職者が新たなスキルを習得し、より安定した雇用に結びつける支援が行われている。これにより、企業側が求めるスキルを持った人材が増え、雇用のミスマッチが改善されることが期待される。
今後、沖縄県の労働市場がより安定した状態に向かうためには、企業側と求職者側の意識のギャップを埋めることが重要である。特に、企業は給与や福利厚生の充実、柔軟な働き方の提供など、求職者が魅力を感じる職場環境を整備することが求められる。同時に、求職者側も自身のスキル向上に努め、新たな職種や業界への挑戦を積極的に行うことで、より多くの就業機会を得ることができるだろう。こうした相互の努力によって、沖縄県の労働市場はより健全な方向へと進んでいくことが期待される。
⇒ 詳しくは沖縄労働局のWEBサイトへ