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2025年2月8日

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2024年12月の長崎県有効求人倍率1.19倍!企業の採用難と求職者の動向

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職業安定業務月報 ながさき 令和6年12月(長崎労働局)

長崎県の有効求人倍率(季節調整値)は2024年12月時点で1.19倍となり、前月と同水準を維持した。この数値は求職者1人に対して1.19件の求人があることを示しており、全国平均と比較するとやや低い水準にとどまっている。長崎県の有効求人倍率は2023年以降、1.2倍前後で推移しており安定した傾向を示しているものの、全国的な景気の影響を受けやすい構造にあることが特徴的である。一方で、新規求人倍率(季節調整値)は1.70倍となり、前月よりやや低下した。これは、新規に発生した求人に対して新規求職者が増加していないことを意味しており、採用の難易度が高まっていることがうかがえる。特に製造業やサービス業において新規求人の減少が顕著であり、人材確保が困難な状況が続いている。

2024年12月の新規求人数は8,185件で、前年同月比10.0%減少した。これは2カ月連続の減少となり、特にフルタイムの求人が5.7%減、パートタイムの求人が16.9%減となっている。景気の変動や人件費の上昇が影響し、企業側が慎重に採用計画を進めていることが背景にあると考えられる。一方で、新規求職者数は3,774人で、前年同月比0.7%増となった。求職者数の増加は3カ月ぶりであり、特にパートタイムの求職者が8.8%増加している点が注目される。働き方の多様化が進み、短時間労働を希望する人が増えていることがこの傾向の要因と考えられる。フルタイムの求職者数は4.2%減少し、特に30代から40代の働き盛りの層が転職を控える傾向にある。

業種別にみると、建設業や運輸業では比較的堅調な求人が維持されているものの、製造業やサービス業では求人の減少が目立っている。特に医療・福祉分野の新規求人は安定しているものの、介護職や看護職の人材不足が深刻化しており、企業側の採用活動が活発になっている。小売・卸売業では求人数が減少傾向にあり、地方の中小企業では人手不足が顕在化している。一方で、情報通信業ではリモートワークの普及により、県外の求人との競争が激化しており、優秀な人材の確保が難しくなっている。

紹介件数は3,504件で、前年同月比1.8%増加しており、企業側の採用意欲は一定の水準を保っているといえる。しかし、就職件数は1,512件で、前年同月比2.5%増加したものの、全体の求職者数と比較すると低い割合にとどまっている。特に中高年層の就職率が低く、企業側の求める人材と求職者側の希望との間でミスマッチが生じていることが課題となっている。雇用保険の受給者数を見ると、就職件数は476件で前年同月比11.7%増加しており、雇用保険を活用して求職活動を行う人が増えていることがうかがえる。企業側が雇用保険を受給中の求職者にアプローチすることは、有効な採用戦略の一つとなる可能性がある。

長崎県の採用市場は全国の景気動向と密接に関連しているが、今後の見通しとしてはいくつかのポイントが挙げられる。まず、人手不足の継続が予測される。特に医療・福祉分野や建設業では人手不足が続くとみられており、企業側が労働条件の改善や採用手法の多様化を進めることが求められる。また、デジタル分野の需要拡大も見込まれる。情報通信業やIT関連の求人は全国的に増加傾向にあり、長崎県でもこの流れに乗ることが重要となる。地元のIT企業が積極的に採用活動を展開し、県内の人材を確保することが課題となる。

さらに、若年層の県外流出が依然として続いており、これを防ぐためには地元企業が魅力的な雇用環境を整えることが不可欠である。特に新卒採用の強化とキャリアパスの明確化が求められる。加えて、シニア層の活用も重要となる。高齢化が進む中で、定年延長や再雇用制度の充実により、企業側がシニア層の労働力を積極的に活用する動きが加速する可能性がある。

長崎県の採用市場は全体として安定した傾向を維持しているが、業種や雇用形態によって大きな差がある。特に医療・福祉分野の人材不足や若年層の流出が課題となっており、企業側はこれらの動向を踏まえた採用戦略を構築する必要がある。今後も地域経済の動向を注視しながら、柔軟な採用方針を取ることが求められる。

⇒ 詳しくは長崎労働局のWEBサイトへ

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