2025年2月23日
労務・人事ニュース
2024年3月適用の新標準運賃対応!「物流情報標準ガイドライン」Ver.3.00が公開
「物流情報標準ガイドライン」をver3.00に改訂しました(国交省)
近年、物流業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展が加速し、それに伴うデータの標準化が求められるようになった。こうした背景のもと、「物流情報標準ガイドライン」の最新版であるVer.3.00が公開された。今回の改訂では、標準貨物自動車運送約款の改正、新たな標準的運賃の適用、物流サービス提供者の標準プロセスの追加、CO₂排出量報告の対応、ユーザビリティの向上など、幅広い改善が施されている。これらの変更点が物流業界にもたらす影響について詳しく解説する。
物流情報標準ガイドラインの改訂の背景 物流は日本の産業活動と国民生活を支える基盤であり、その効率化と安定性は極めて重要である。しかし、近年、ドライバー不足やコスト上昇といった課題が顕在化し、物流の生産性向上が喫緊の課題となっている。加えて、環境負荷低減の観点からCO₂排出量の管理が求められるようになり、物流データの標準化が重要視されるようになった。こうした状況を受け、国土交通省が主導し、内閣府の「SIPスマート物流サービス」と連携する形で「物流情報標準ガイドライン」の改訂が進められた。
標準貨物自動車運送約款の改正対応 2024年3月に標準貨物自動車運送約款が改正され、荷送人とトラック運送事業者の間で運送申込書と運送引受書の交付が義務付けられた。これにより、契約内容の透明性が向上し、トラブルの防止に寄与すると期待されている。今回の改訂では、これらの文書の内容をメッセージ形式で送受信できるようになり、デジタル化による業務効率化が図られている。
新たな標準的運賃の適用 同じく2024年3月に、新たな標準的運賃が告示された。これには距離制運賃、時間制運賃、個建運賃、待機時間料、積込料、取卸料などが含まれ、適正な価格設定が行われることが期待されている。ガイドラインVer.3.00では、これらの運賃項目をメッセージ形式で送受信できるようにすることで、請求業務の効率化が進む。
物流サービス提供者の標準プロセス追加 従来、物流サービス提供者が関与するケースは共同輸送に限定されていたが、今回の改訂では共同保管や検品レスといったプロセスについても標準化が図られた。これにより、物流の効率化がさらに進み、より柔軟な物流オペレーションの実現が可能となる。
運送事業者によるCO₂排出量報告の対応 環境負荷の低減が求められる中、企業にとってスコープ3(間接排出)のCO₂排出量管理が重要性を増している。ガイドラインの改訂により、運送事業者がCO₂排出量を報告できる仕組みが導入され、共同輸送における排出量按分やEVトラックなど次世代車両への対応も進められた。これにより、企業の環境報告がより正確かつ効率的に行えるようになる。
ユーザビリティ向上のための改訂 ガイドラインの普及が進む一方で、データ項目の不足や利用しづらさが指摘されていた。今回の改訂では、幅広い業種・場面で利用できるよう、データ構造の見直しが行われ、納品伝票情報や輸送情報、ユニット情報を統合することで、メッセージの一元化が図られた。また、新たに「物流注意事項」項目が追加され、貨物運搬時の注意事項を詳細に記載できるようになった。
今後の展望 物流DXが進展する中で、データの標準化は避けて通れない課題である。今回のVer.3.00の改訂は、業務効率化と環境負荷低減の両面から物流業界に大きな変化をもたらすと考えられる。特に、CO₂排出量の可視化と標準運賃の適用は、今後の物流の持続可能性を高める重要なポイントとなる。企業は、このガイドラインを積極的に活用し、DXの推進と環境対策を両立させることが求められる。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ