2024年8月24日
労務・人事ニュース
2024年4-6月期、実質GDPが前期比0.8%増加、年率3.1%の成長
四半期別GDP速報(2024年4-6月期・1次速報)(内閣府)
2024年4月から6月期の日本経済は、内閣府経済社会総合研究所の報告によれば、実質GDPが前期比で0.8%増加し、年率換算で3.1%の成長を遂げました。この成長率は、2024年1月から3月期のマイナス0.6%から大きく回復したことを示しており、日本経済が再び拡大軌道に乗ったことを示唆しています。一方、名目GDPも同期間で1.8%増加し、年率換算では7.4%の成長を記録しました。これらの指標は、日本経済がインフレと戦いながらも回復を続けていることを示しています。
内需の貢献度は特に注目すべき点です。実質GDP成長率の0.9%は内需の寄与によるもので、輸出から輸入を差し引いた純輸出はGDP成長に対してマイナス0.1%の寄与度を示しました。これは、国内市場の消費や投資が成長の主要な原動力であったことを示しています。名目GDPの内需の寄与度は1.9%で、輸出と輸入の寄与度が均衡した結果、純輸出は成長にほとんど影響を与えませんでした。
各需要項目別に見ると、民間最終消費支出は実質1.0%、名目では1.5%の増加を記録しました。特に、家計最終消費支出は、実質1.0%、名目1.6%の増加を示しており、家庭の消費が経済全体の回復に寄与していることがわかります。さらに、持ち家の帰属家賃を除く家計最終消費支出は実質1.2%、名目1.8%の増加を示しており、住宅関連以外の消費活動も活発であったことがうかがえます。
民間住宅投資は、前期のマイナス2.6%から一転して実質1.6%、名目3.1%の増加を示し、企業設備投資も実質0.9%、名目1.9%の増加を記録しました。これにより、民間投資が経済成長を支える重要な要因であることが確認されます。しかし、民間在庫変動は成長率に対して実質でマイナス0.1%、名目でもほぼ同様のマイナス寄与を示し、在庫の調整が続いていることが見て取れます。
公的需要に関しては、政府最終消費支出が実質0.1%、名目0.4%の微増にとどまる一方で、公的固定資本形成は実質4.5%、名目5.5%の大幅な増加を記録しました。これは公共事業やインフラ投資が引き続き経済を下支えしていることを示しています。公的在庫変動は実質、名目ともに成長に対してほとんど寄与していません。
外需の動向については、財貨・サービスの輸出が実質1.4%、名目3.7%の増加を示しましたが、輸入も実質1.7%、名目3.7%と増加しており、外需の純寄与は限定的でした。これは、グローバルなサプライチェーンの安定と、海外からの需要の回復が続いている一方で、国内での輸入需要も高まっていることを示しています。
デフレーターの動向に関しては、四半期デフレーター(季節調整系列)の前期比変化率で、GDPデフレーターが1.0%、国内需要デフレーターも同様に1.0%の増加を示しました。輸出デフレーターが2.2%、輸入デフレーターが1.9%の上昇を見せており、価格変動が国際取引に及ぼす影響が浮き彫りとなっています。
2023年度全体で見た場合、実質GDP成長率は0.8%、名目成長率は4.9%となりました。特に、名目GDPの成長率が物価上昇を伴いながらも高い水準を維持していることが、経済の実態を反映しています。内外需別の寄与度を見ても、実質の内需がマイナス0.6%、外需が1.4%の寄与を示しており、名目では内需が1.9%、外需が3.0%の寄与を示しました。
雇用者報酬に関しては、2024年4月から6月期の実質雇用者報酬は前期比0.8%、名目では1.4%の増加を示しましたが、2023年度全体では実質がマイナス1.5%、名目で1.8%の増加にとどまり、賃金上昇が物価上昇に追いついていない状況が続いていることがわかります。
以上の結果から、日本経済は引き続き回復基調にあるものの、内需の回復が主導する形での成長となっており、外需の寄与は限定的であることが示されています。また、物価上昇が経済全体に影響を与えている一方で、賃金上昇が十分に追いついていないことが課題として浮かび上がっています。これらの指標は、今後の政策運営や企業戦略において重要な判断材料となるでしょう。
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