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2024年6月28日

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2024年5月の有効求人倍率1.24倍に低下、前月比0.02ポイント減

引用:厚生労働省 一般職業紹介状況(令和6年5月分)についてより

一般職業紹介状況(令和6年5月分)について(厚労省)

2024年5月の有効求人倍率は前月比で低下、雇用情勢の変動を示唆

厚生労働省が発表した2024年5月の一般職業紹介状況によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で、前月比0.02ポイント低下しました。また、新規求人倍率(季節調整値)は2.16倍で、こちらも前月比0.01ポイント低下しています。これにより、雇用市場における求人と求職のバランスが微妙に変動していることが明らかになりました。

特に注目すべきは、正社員有効求人倍率が1.00倍となり、前月比0.02ポイント低下したことです。これは、正社員を希望する求職者数が若干増加している一方で、企業側の求人はそれほど増加していないことを示しています。

5月の有効求人は前月比で0.1%増加しましたが、有効求職者数は1.9%増加しました。この結果、求人倍率に対して求職者の増加が相対的に大きくなっています。また、5月の新規求人は前年同月比で0.6%減少しており、特に製造業や建設業で顕著な減少が見られました。

産業別に見ると、情報通信業が5.7%増、卸売業・小売業が4.6%増、医療・福祉が1.4%増加している一方で、生活関連サービス業・娯楽業が10.6%減、製造業が7.4%減、建設業が3.4%減少しました。このように、業種によって求人動向が大きく異なることが明らかです。

都道府県別の有効求人倍率を見ると、就業地別では福井県が1.92倍で最も高く、大阪府が1.02倍で最も低い結果となりました。受理地別では東京都が1.75倍で最も高く、神奈川県が0.92倍で最も低い結果となっています。

さらに詳細なデータによると、5月の月間有効求職者数は約206万人、新規求職申込件数は約41万件、月間有効求人数は約236万人、新規求人数は約83万件、就職件数は約10万件となっています。有効求人倍率は1.14倍、新規求人倍率は2.02倍となり、いずれも前月比で若干の低下が見られました。

雇用形態別のデータでは、正社員の月間有効求人数は約115万人、新規求人数は約39万人、就職件数は約4万件となり、有効求人倍率は0.94倍、新規求人倍率は1.65倍となりました。パートタイムを除く常用の月間有効求人数には派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、正社員有効求人倍率は実質的に低い値となっています。

主要産業別の新規求人状況を詳しく見ると、製造業では新規求人数が約7.1万人で前年同月比7.4%減少しており、特に食料品製造業や化学工業、鉄鋼業などで減少が目立ちます。一方、情報通信業では新規求人数が約2.2万人で前年同月比5.7%増加しており、特に情報サービス業での増加が顕著です。

このように、2024年5月の一般職業紹介状況は全体的に微妙な変動を示しており、特に製造業や建設業での求人減少が目立つ一方で、情報通信業や卸売業・小売業では求人の増加が見られました。これにより、企業は人材確保の戦略を再考する必要性が高まっていると言えるでしょう。

2024年5月の有効求人倍率低下が示す日本の労働市場の変動と企業の対策

2024年5月の有効求人倍率と新規求人倍率の低下は、日本の労働市場に大きな影響を与えています。このデータは、求人と求職のバランスが変動していることを示しており、企業や求職者に様々な影響を及ぼしています。

まず、有効求人倍率が1.24倍、新規求人倍率が2.16倍に低下したことは、企業の採用活動に直接的な影響を及ぼしています。企業は求人を出しても求職者がそれに応じないケースが増加しており、人材確保が難しくなっています。このため、企業はより魅力的な求人条件を提示する必要があります。例えば、給与や福利厚生の改善、柔軟な働き方の導入などが求められます。また、特に正社員の有効求人倍率が1.00倍に低下しているため、正社員の採用においては、他社との差別化が重要になります。

さらに、企業は採用チャネルの多様化を図る必要があります。オンライン求人サービスやソーシャルメディアを活用した採用活動の強化が必要です。特に若年層の求職者に対しては、デジタルプラットフォームを通じたアプローチが有効です。これにより、企業はより広範な求職者層にリーチしやすくなります。

業種別のデータからは、情報通信業が5.7%増加している一方で、製造業が7.4%減少していることがわかります。これにより、情報通信業では新しい技術の導入やデジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、専門的なスキルを持つ人材の需要が高まっています。企業は高度なスキルを持つ人材を確保するため、教育や研修プログラムの強化が求められます。一方で、製造業では求人が減少しているため、特に技能職の人材確保が難しくなっています。企業は自社内での技能訓練や職業訓練機関との連携を強化する必要があります。

地域別の有効求人倍率を見ると、福井県が1.92倍、大阪府が1.02倍と地域間で大きな差があります。これにより、地方と都市部の格差が拡大する可能性があります。地方では高い求人倍率が続いている一方で、都市部では求人倍率が低くなっています。このため、地方から都市部への人材流出が進むことが懸念されます。

地方自治体は、地元企業の求人支援や地域内での雇用創出を促進するための政策を強化する必要があります。例えば、地方でのリモートワークの普及や地元企業のデジタル化支援などが考えられます。これにより、地方の雇用機会を増やし、地域経済の活性化を図ることが期待されます。

全体として、2024年5月の有効求人倍率と新規求人倍率の低下は、日本の労働市場において求人と求職のミスマッチが生じていることを示しています。企業は採用戦略の見直しや採用チャネルの多様化を図る必要があり、特に情報通信業や製造業では業種別の特性に応じた対策が求められます。また、地域間の求人倍率の差に対応するため、地方自治体は地域経済の活性化に向けた取り組みを強化することが重要です。これにより、日本全体としての労働市場の安定化と持続的な成長が期待されます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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