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2024年8月27日

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2024年6月の旅行業界総取扱額が前年比2.7%増、コロナ前水準には依然届かず

主要旅行業者の旅行取扱状況速報(2024年(令和6年)6月分)(観光庁)

2024年6月の旅行業界の取扱状況について観光庁から報告がありました。この報告によると、主要な旅行業者43社の総取扱額は2023年同月比で約2.7%増加したものの、2019年同月比では約26.6%減少していることがわかります。これらの数値は、業界全体の回復がまだ道半ばであることを示しています。

まず、海外旅行の総取扱額は、2023年同月比で約134%と大幅に増加していますが、2019年同月比では約63%にとどまっており、コロナ前の水準には達していません。これは、海外渡航に対する需要が徐々に戻りつつあるものの、依然として不安定な情勢が続いていることを反映しています。

外国人旅行についても同様で、2023年同月比ではほぼ横ばいですが、2019年同月比では約20%の減少が見られます。日本へのインバウンド観光が回復途上にあることがうかがえますが、国際情勢や入国制限の影響が残っているため、完全な回復には至っていない状況です。

国内旅行に関しては、2023年同月比で約9%の減少、2019年同月比では約19%の減少が報告されています。国内旅行は、コロナ禍で一時的に需要が回復したものの、2024年に入ってから再び低迷していることが示されています。この減少は、旅行者の経済的負担や生活環境の変化が影響していると考えられます。

具体的な数値として、主要旅行業者の中でも特に大きなシェアを持つJTB(7社計)は、海外旅行取扱額が2023年同月比で約139.7%増加しましたが、2019年同月比では約52.5%減少しています。これは、JTBが依然として業界をリードしているものの、パンデミック前の規模には回復していないことを示しています。

一方で、エイチ・アイ・エス(6社計)は、2023年同月比で約118.4%増加し、2019年同月比では約68.2%にとどまっています。特に、エイチ・アイ・エスの国内旅行取扱額は、2023年同月比で約89.5%、2019年同月比で約101.3%と、国内市場での強さを維持している点が注目されます。

KNT-CTホールディングス(4社計)は、2023年同月比で約186.2%の増加を示しており、特に国内旅行において安定した取扱額を維持しています。しかし、2019年同月比では約55.2%の減少となっており、海外市場への依存度が依然として高いことが影響していると言えます。

阪急交通社(2社計)は、2023年同月比で約148.5%の増加を見せており、海外旅行においても一定の回復が見られますが、2019年同月比では約65.9%と依然として大きな落ち込みが見られます。

一方、ANA X(株)は、2023年同月比で約191.9%と大幅な増加を示しており、海外旅行の需要が再び高まっていることを反映しています。しかし、2019年同月比では約34.7%にとどまっており、航空業界全体の回復にはまだ時間がかかると見られます。

また、名鉄観光サービス(株)は、2023年同月比で約129.6%の増加を示していますが、2019年同月比では約57.4%の減少となっています。このことから、地方の旅行業者にとってもコロナ後の需要回復が課題となっていることがうかがえます。

全体として、2024年6月の旅行業界の状況は、コロナ禍からの回復を示しつつも、依然として2019年の水準には達していないことが明らかになっています。各旅行業者は、この状況を踏まえ、新たなビジネス戦略を模索する必要があるでしょう。特に、国際情勢や入国制限の変化を注視しつつ、国内旅行やインバウンド観光の需要回復をどのように促進していくかが重要な課題となります。

今後、業界全体としては、持続可能な観光の推進やデジタル技術を活用した新たなサービスの展開など、競争力を強化するための取り組みが求められています。これにより、2025年以降のさらなる成長が期待されますが、依然として不透明な要素が多い中で、柔軟な対応が求められるでしょう。

⇒ 詳しくは観光庁のWEBサイトへ