2024年9月9日
労務・人事ニュース
2024年7月の小企業売上DI、前年同月比で▲1.4に改善も8月に再び悪化予測
全国小企業月次動向調査(2024年7月実績、8月見通し)(日本公庫)
2024年8月の「全国小企業月次動向調査」によれば、小企業の売上DIは、前月と比較してマイナス幅が縮小し、▲1.4となりました。これは、6月の▲5.1から3.7ポイントの改善を示していますが、8月には再びマイナス幅が拡大し、▲5.8になると予測されています。業種別に見ると、製造業と非製造業の両方でマイナス幅が縮小しました。具体的には、製造業のDIは▲14.1から▲8.8に改善し、非製造業では▲4.3から▲0.8へと回復しました。しかし、8月の見通しでは、製造業が▲21.6、非製造業が▲3.8と再びマイナス幅が拡大する見込みです。
採算DIに関しては、7月に1.5となり、前月から0.4ポイント低下しました。8月にはさらに低下し、1.4に達すると予想されています。また、販売価格DIは、7月に14.0で、6月の14.7から0.7ポイント低下しました。仕入価格DIも同様に、35.0に低下し、6月の38.4から3.4ポイントの減少を示しています。業種別に見ると、卸売業と飲食店を除くほとんどの業種で販売価格DIが低下しています。特に卸売業や飲食店においては、販売価格DIがやや上昇傾向にあるものの、全体的な下落傾向は顕著です。
調査は、2024年8月1日から8日にかけて実施され、1,281社が有効回答を提出しました。これは、対象企業数1,500社に対して85.4%の回答率を示しています。調査対象は、日本政策金融公庫と取引がある小規模企業であり、製造業、卸売業、小売業、飲食業、サービス業、建設業、運輸業などが含まれています。
また、2023年の売上DIの推移を振り返ると、全業種で波動が見られ、特に8月には急激なマイナス転換が確認されています。これは、季節的要因や経済全体の不透明感が影響していると考えられます。製造業では、金属や機械産業の影響が大きく、▲14.0から▲33.5までの大幅な変動がありました。その他の製造業でも、同様に大きな落ち込みが見られます。一方、非製造業では、繊維・衣料・食品業界が比較的安定しているものの、機械・建材業界では不安定な動きを見せています。
特に耐久消費財に関しては、8月に入ってから大幅な落ち込みが見られ、▲21.1から▲33.5に至るまでの低下を示しました。これは、消費者の購買意欲が減少していることを反映しています。非耐久消費財においても、若干の下落が見られましたが、全体的には比較的安定しています。
さらに、飲食業やサービス業では、DIが大きく変動しており、8月には特に飲食業でのDIの急激な低下が確認されています。これは、季節的な要因や消費者の外食に対する消極的な姿勢が影響している可能性があります。サービス業においても、全体的な低下が見られ、特に個人向けサービスの需要が減少していることが背景にあります。
建設業では、8月において受注額が減少し、DIが大きく落ち込んでいます。特に中小企業においては、受注の減少が顕著であり、今後の経営環境に対する懸念が高まっています。運輸業においても、同様に8月に大幅な低下が見られ、特に道路貨物のDIが▲30.2から▲35.5に至るまでの悪化を示しています。
このように、2024年7月から8月にかけての小企業の業績は、全体的に厳しい状況が続いています。特に、製造業や運輸業においては、今後もさらなる悪化が予想されており、企業経営者には慎重な経営判断が求められます。一方で、非製造業の一部業種においては、比較的安定した動きも見られますが、全体的な市場の不安定さを考慮すると、今後の見通しには注意が必要です。
この調査結果を基に、企業経営者は、特に8月の業績見通しを踏まえた戦略的な意思決定を行う必要があります。市場の動向を常に注視し、迅速な対応を心がけることが、今後の事業継続の鍵となるでしょう。
⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ