2024年10月2日
労務・人事ニュース
2024年7月の建設工事受注高が7兆円超、前年同月比33.4%増加で人材需要も急増
国土交通月例経済(令和6年9月号)(国交省)
令和6年9月の「国土交通月例経済」から得られた情報は、特に建設分野と交通分野に焦点が当てられています。これらのデータは、企業の採用担当者にとって重要な指標となる可能性があり、業界の現状と将来のトレンドを理解する上で役立つでしょう。
まず、2024年7月の建設工事の元請受注高は7兆2,121億円で、前年同月比33.4%増加しました。この中で、公共機関からの受注高は2兆2,245億円、民間等からの受注高は4兆9,875億円となっており、特に民間からの受注は43.5%の大幅な増加を見せました。また、下請受注高も3兆6,799億円と前年同月比29.7%増加しており、総じて建設業界は好調を維持しています。このようなデータは、採用計画を立てる際に、建設関連の職種において需要が高まっていることを示唆しています。
住宅着工についても、2024年7月の新設住宅着工数は68,014戸となり、前年同月比0.2%減とわずかな減少にとどまりました。持家は19,858戸で前年同月比4.0%減、貸家は31,546戸で4.6%増、給与住宅は446戸で42.5%増、分譲住宅は16,164戸で4.8%減という結果です。特に貸家や給与住宅の増加は、住宅市場における新しいニーズの高まりを反映している可能性があります。これらのデータから、企業の採用担当者は、不動産開発や住宅設計、建築施工などの分野での採用ニーズが増加することを予測できるでしょう。
また、三大圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)の元請受注高はそれぞれ増加しており、東京圏は3兆3,062億円で前年同月比46.3%増、名古屋圏は5,312億円で59.6%増、大阪圏は9,442億円で39.2%増という大幅な伸びを記録しました。特に名古屋圏の成長は顕著で、企業の採用活動において地域ごとの需要を見極めることが重要です。
リフォームやリニューアルに関しても、2024年度第1四半期には3兆8,180億円の受注高があり、前年同期比10.6%増加しました。この中で住宅関連のリフォームは1兆1,966億円、非住宅建築物は2兆6,214億円となり、特に非住宅建築物のリフォーム需要が高いことが分かります。企業の採用担当者は、リフォームやリニューアルに関連する技術職や営業職の強化を検討すべきです。
交通分野においては、2024年6月のバスの輸送人員が3億2,762万人と前年同月比で横ばいとなり、タクシーの輸送人員は7,843万人で4.6%減少しました。一方、鉄道の輸送人員は増加しており、JRの輸送人員は7億5,120万人、民鉄の輸送人員は12億7,040万人で、それぞれ前年同月比3.0%、4.5%の増加を記録しました。特に、定期外の利用者数が増加している点は、都市部での鉄道利用が依然として高いことを示しており、交通インフラに関連する業界での人材需要も増加する可能性があります。
フェリーや航空業界でも同様に輸送量が増加しており、2024年7月の国内線の輸送人員は886万人で前年同月比4.6%増、国際線は131万人で8.1%増加しました。長距離フェリーの輸送人員も25万人で5.2%増となり、自動車航送台数も16万台で7.0%増加しています。これらのデータから、物流や輸送業界における採用活動が活発化することが予想されます。
また、2024年7月の国際海上貨物の輸送量も増加傾向にあり、輸出は6.6兆円で前年同月比5.8%増、輸入は7.4兆円で14.4%増加しました。このように、国際貿易の回復が進んでいることから、物流や貿易関連の職種でも人材需要が高まっていると考えられます。
観光分野においては、2024年8月の訪日外客数が293万人で前年同月比36.0%増加しました。特に、中国からの訪日客が104.8%増加しており、韓国、台湾、香港からの訪日客も増加しています。このデータは、観光業界における需要の回復を示しており、ホテル業界や観光関連のサービス業での採用活動が今後も増加することが予想されます。
国内旅行に関しても、2024年4~6月期の日本人国内旅行消費額は6兆4,518億円で前年同期比14.9%増となり、特に宿泊旅行が5兆1,137億円で15.6%増加しています。このような消費の増加は、観光業界や関連サービス業での採用需要の増加を後押しする要因となります。
このように、国土交通月例経済のデータは、建設、交通、観光といった多岐にわたる業界での需要動向を示しており、企業の採用活動においても重要な参考資料となります。特に、各分野での受注高や輸送量の増加に注目し、それに応じた採用計画を立てることが求められます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ