労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 2024年7月調査結果 食品業界のコスト増加、9割以上の企業が10%以上の影響を受ける

2024年10月21日

労務・人事ニュース

2024年7月調査結果 食品業界のコスト増加、9割以上の企業が10%以上の影響を受ける

外国産農林水産物の調達見込みについて、約6割が「懸念がある」と回答 ~主な懸念理由は価格上昇、対応策として約4割の企業が「国産農林水産物への切り替え」と回答~ <食品産業動向調査(令和6年7月調査)特別調査>(日本公庫)

2024年7月に実施された日本政策金融公庫の「食品産業動向調査」によると、食品業界における農林水産物の利用や調達に関して、国産と外国産の調達状況に大きな変化が見られました。特に、国産農林水産物の調達量が増加するという回答は、製造業では約20.8%、卸売業では15.5%と、2024年1月の調査と同様の結果でしたが、飲食業や小売業では減少傾向が目立ち、調達量が増加すると答えた企業の割合は2割を下回りました。

外国産農林水産物に関しては、約6割の企業が今後の調達に懸念があると回答しています。主な懸念材料は価格上昇で、その理由の91.8%は円安を含む価格の高騰が原因とされています。企業はこの懸念に対し、他国産への切り替えや国産への切り替え、さらには商品設計の見直しといった対策を講じています。特に、他国産への切り替えを検討している企業は36.1%、国産への切り替えを検討している企業は35.7%に達しました。

また、原材料高騰への対応としては、2024年上半期において、9割以上の企業が前年同期比でコストが増加したと報告しており、そのうち約6割の企業は10%以上のコスト増加を経験しています。これに対する対応策として、最も多くの企業が「歩留まり・ロスの改善」を挙げ、44.5%の企業がこの方法を採用しています。次いで、「仕入・調達以外のコスト削減」(32.0%)や「産地の変更」(22.1%)が続いています。

特に価格上昇に関しては、製造業や卸売業で顕著な影響が見られ、企業はコスト増をいかに販売価格に転嫁するかが大きな課題となっています。調査によると、卸売業や飲食業ではコスト増を全額価格に転嫁しようとしている企業が増加している一方、製造業や小売業では価格転嫁の割合が低下しています。特に小売業や飲食業では、販売数量の減少による売上高低下を懸念している企業が多く、価格転嫁に消極的な姿勢を見せています。

原材料高騰への対応策としては、引き続き「歩留まり・ロスの改善」が最も多くの企業で採用されている方法ですが、他にも「産地の変更」を行う企業が増えてきており、特に2024年7月の調査では、その割合が6.2%増加しています。このような対応策は、企業がどのようにしてコストを抑えつつ、品質を維持するかという点で重要な指標となっています。

食品産業全体で見た場合、外国産農林水産物の調達見込みに懸念を抱える企業が多い一方、国産へのシフトや他国産への切り替えを進める動きが強まっていることが分かります。特に、円安や海外での生産量減少といった外的要因が、外国産農林水産物の価格上昇を加速させているため、今後も調達先の多様化やコスト削減が引き続き重要なテーマとなるでしょう。

この調査は、日本政策金融公庫が全国の6,753社を対象に行ったもので、製造業、卸売業、小売業、飲食業にわたる幅広い業界からの回答を集めています。2024年7月時点での有効回答数は2,418社で、回収率は35.8%に達しています。これにより、食品業界の企業が直面している課題やその対応策について、実態を把握することができました。

特に製造業では、国産農林水産物の調達割合が引き続き高い一方で、外国産に対する懸念が高まっていることが示されています。食品製造業における外国産農林水産物の主要品目としては、穀類・豆類が36.6%と最も高く、次いで水産物が27.7%、野菜が21.1%となっています。一方、卸売業では果実が35.6%、水産物が34.4%、野菜が32.1%と、外国産農林水産物への依存度が高い状況が見て取れます。

また、調査結果は、円安の影響が特に食品業界に大きな打撃を与えていることを示しています。外国産農林水産物の価格上昇は避けられない状況であり、多くの企業がコスト増を予想しています。企業は他国産への切り替えや国産農林水産物へのシフト、さらには商品設計の見直しなど、さまざまな対応策を取っていますが、その効果がどこまで持続するかは不透明です。

コスト増加をどう価格に転嫁するかという問題も依然として課題です。特に、製造業や卸売業では価格転嫁の遅れが問題となっており、販売数量の減少や競争激化がこの課題を一層難しくしています。このため、今後は消費者ニーズに合わせた商品設計やコスト削減策がより重要となるでしょう。

このような状況下で、食品業界は引き続き柔軟な対応が求められています。特に国際的な経済状況や為替動向が影響を与える中、企業は調達先の見直しやコスト削減を進めるとともに、国内外の市場動向に敏感に反応する必要があります。2024年7月の調査結果は、食品業界にとって今後の課題と展望を示す重要な資料となるでしょう。

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ