2024年11月26日
労務・人事ニュース
2024年7~9月期のGDP成長率発表、内需が0.6%のプラス寄与
四半期別GDP速報(2024年7-9月期・1次速報)(内閣府)
2024年7~9月期の国内総生産(GDP)に関する速報値が発表され、日本経済の動向が明らかになりました。この期間の実質GDP成長率は0.2%(年率換算で0.9%)で、引き続き堅調な推移を見せています。名目GDPの成長率も0.5%(年率2.1%)を記録し、内外需のバランスが注目されます。
まず、国内需要(内需)の寄与度は0.6%と堅調で、特に家計最終消費支出が成長の原動力となっています。家計最終消費支出は、実質で0.9%、名目で1.2%と、いずれも前期から増加を記録しました。持ち家の帰属家賃を除く消費支出も、実質で1.1%、名目で1.5%と力強い動きを見せています。このような増加は、国内経済の基盤が安定していることを示しており、消費活動が経済全体を支えていることがわかります。
一方で、民間住宅投資や民間企業設備は、成長に対する寄与がやや低調でした。民間住宅投資は実質で▲0.1%、民間企業設備は▲0.2%の減少を記録しました。ただし、前期におけるこれらの指標はプラス成長であったため、一時的な調整とみられる可能性があります。特に、名目ベースで見ると民間企業設備はわずかに0.2%増加しており、一定の回復基調を示しています。
輸出入の動向では、外需の寄与度が▲0.4%となり、輸入の伸びが輸出の成長を上回りました。実質で見ると、財貨・サービスの輸出は0.4%の増加でしたが、輸入が2.1%増加したため、貿易収支がマイナス寄与となりました。これにより、外需全体としてはGDP成長の足を引っ張る形となっています。この背景には、国内消費の拡大による輸入の増加が一因と考えられます。
また、公的需要に関しては、政府最終消費支出が実質で0.5%、名目で0.8%の増加を示しました。これにより、公共部門が経済全体に一定の支えを提供しています。一方で、公的固定資本形成は実質で▲0.9%と減少を記録し、公共投資の減速が課題として浮かび上がっています。
デフレーターの動向についても注目すべき点があります。GDPデフレーターは前期比で0.3%上昇し、国内需要デフレーターも0.2%増加しました。ただし、財貨・サービスの輸出入デフレーターがそれぞれ▲0.9%、▲1.3%と下落し、貿易条件の悪化を反映しています。
2023年度全体のGDP成長率を振り返ると、実質成長率は0.8%、名目成長率は4.9%でした。デフレーターでは、GDPデフレーターが4.1%、国内需要デフレーターが2.4%となり、名目成長が物価上昇による影響を受けていることが示唆されます。これに伴い、内需の寄与度は実質で▲0.6%と減少しましたが、外需が1.4%と高い寄与を記録しました。
さらに、雇用者報酬の動向を見ると、実質では横ばい(0.0%)ながら、名目で0.4%増加しました。これは、物価上昇に対する賃金の追随が不十分である可能性を示しており、消費者の購買力の変化に注意が必要です。
これらの結果を総合すると、日本経済は堅調な内需を背景に持続的な成長を維持していますが、外需のマイナス寄与や公共投資の減少といった課題も浮き彫りになっています。今後は、内外需のバランスをいかに取り戻すかが、さらなる成長を実現する鍵となるでしょう。
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