2024年11月5日
労務・人事ニュース
2024年8月、企業給与が2.8%増加!人材確保のための最新賃金動向とは?
毎月勤労統計調査 令和6年8月分結果確報(厚労省)
2024年の雇用と給与動向は、企業の人事戦略に大きな影響を与える重要な要素です。最近発表された厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(2024年8月分)によると、全体的な現金給与総額が前年比で2.8%増加し、296,154円となりました。一般労働者の平均給与は379,012円で、前年比3.1%増となっており、パートタイム労働者の給与も109,767円で3.8%の増加を示しています。これらのデータは、特に企業が今後の人材獲得と維持に関してどのような対策を講じるべきかを示唆しています。
給与の増加は労働市場の競争が激化していることを反映しています。特に一般労働者の所定内給与が前年比2.7%増加して332,632円となっており、企業が賃金の上昇に対応する必要性が高まっています。さらに、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,362円で4.8%増加しており、非正規雇用の労働条件も改善が求められていることが明確です。
一方で、実質賃金は前年比0.8%の減少となっており、消費者物価指数の上昇が賃金増加の実質的な価値を下げていることが課題です。企業は従業員の生活費上昇に対応するために、さらに賃金や福利厚生の向上を検討する必要があります。
また、業界別に見ると、建設業や製造業、情報通信業などの給与水準は全体的に上昇傾向にあります。例えば、建設業では平均給与が411,845円(前年比4.3%増)となっており、製造業でも339,882円(前年比2.3%増)に達しています。情報通信業は特に顕著で、平均給与が420,604円(前年比4.4%増)に達し、成長が著しい業種となっています。このような業界別の傾向を踏まえ、各業界の採用担当者は自社の給与水準を競合他社と比較し、優秀な人材を引き付けるための対策を講じる必要があります。
さらに、企業規模別では、従業員30人以上の事業所での平均給与が327,096円(前年比3.1%増)となっており、中小企業においても賃金水準の上昇が見られます。これに対して、従業員5人以上の小規模事業所でも平均給与が徐々に上昇しており、人材の競争力を保つために中小企業でも適切な賃金設定が求められます。
労働時間の面では、総実労働時間が132.2時間で前年比1.1%減少しており、特に所定外労働時間が9.3時間で3.1%の減少を示しています。これは、働き方改革の影響が現れている可能性があり、企業は労働時間の適正化を図りつつ、生産性向上を目指す必要があります。
また、労働者の雇用状況にも変化が見られます。常用雇用者数は51,064千人で前年比1.2%増加しており、特に一般労働者は35,327千人で前年比3.2%の増加を示しています。一方で、パートタイム労働者の比率は30.82%で、前年比0.48ポイント上昇しており、非正規雇用の割合が増加しています。この傾向は、企業が柔軟な働き方を提供しながらも、従業員の安定した雇用を確保するための戦略を強化する必要があることを示しています。
特に注目すべきは、情報通信業や製造業などの一部の業種で所定外労働時間が増加している点です。これらの業界では人手不足が深刻化しているため、企業は効率的な働き方を推進しながら、従業員の負担軽減に取り組む必要があります。労働環境の改善が従業員のモチベーション向上や離職率の低下につながるため、採用担当者にとって重要な課題となっています。
このようなデータを踏まえ、企業の採用担当者は今後の人材戦略を見直す必要があります。競争力のある給与水準の設定や労働条件の改善に加え、柔軟な働き方を導入し、従業員の多様なニーズに対応することが求められています。さらに、業界や企業規模に応じた適切な雇用戦略を策定し、優秀な人材の確保と定着を図ることが成功の鍵となるでしょう。
以上の分析に基づき、企業の採用担当者にとって重要なポイントは、給与の上昇傾向と実質賃金の低下、労働時間の短縮といった要素をバランスよく考慮することです。また、柔軟な働き方の提供や職場環境の改善が、優秀な人材を引きつけるための重要な要素となるため、積極的な取り組みが必要です。これらの施策が、今後の企業の成長と人材確保に大きく貢献することが期待されます。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ