2024年10月17日
労務・人事ニュース
2024年8月の消費支出が前年同月比1.9%減少、物価上昇が家計を直撃
家計調査報告(二人以上の世帯)2024年(令和6年)8月分(総務省)
2024年8月の消費支出に関して、二人以上の世帯の1世帯当たりの消費支出は297,487円となり、前年同月比で実質1.9%の減少となりました。一方、名目では1.5%増加しています。この数値は、実際の物価変動を考慮せず、支出額そのものを示す名目値が上昇している一方、物価の上昇を反映した実質値では支出が減少していることを意味しています。つまり、物価が上昇している中で、実際の消費活動は低迷していると言えるでしょう。
特に、家庭における電気代やガス代などの光熱費が前年同月比で12.2%増加し、これが家計の支出全体に影響を与えています。また、家庭用耐久財や消耗品も12.3%増加し、家事に関連する出費が顕著に増加しています。この背景には、近年のエネルギー価格の上昇や、家電製品の価格高騰が挙げられます。
一方で、教養娯楽サービスや自動車関連費用は大幅に減少しています。特に自動車購入に関する支出は、実質で17.1%減少しており、これは車両価格や維持費が上昇していること、あるいは家計の余裕が減り大きな支出を控える動きがあるためと考えられます。
また、外食や食品に関する支出についても触れたいと思います。外食関連の支出は実質2.6%増加し、特にカップ麺や穀類などの基本的な食品の価格も上昇していることが確認されています。米に関しても、実質で19%増加しており、家庭での食生活においても影響が出ていることがわかります。
次に、勤労者世帯の実収入に目を向けると、2024年8月の実収入は574,334円で、前年同月比で実質2.0%の増加となりました。名目では5.6%の増加を示しており、給与水準自体は上昇していますが、物価上昇の影響を受けて実質的な増加幅は限定的です。勤労者世帯の収入増加は、主に配偶者の収入が7.7%増加したことによるものです。一方で、他の世帯員収入は5.4%減少しており、家庭全体での収入格差が広がっている可能性が示唆されています。
家計全体の可処分所得は482,029円で、実質で3.7%増加しています。これにより、消費支出が318,764円で前年同月比1.2%減少していることから、家計の消費行動に対する圧力が続いていることがわかります。可処分所得が増加しているにもかかわらず、消費支出が減少している背景には、生活必需品以外の支出を抑え、家計をやりくりする傾向が強まっていることが考えられます。
2024年8月の家計調査報告では、特に光熱費の上昇や食品価格の増加が顕著であり、これが家計全体の支出に大きく影響を与えていることが明らかです。加えて、自動車関連費用や教養娯楽に対する支出の減少も見られ、日常生活における消費行動の変化が浮き彫りになっています。物価上昇が続く中で、家庭ごとのやりくりが重要となっており、企業側としてもこうした家計の動向に敏感に対応することが求められます。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ