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2024年8月30日

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2024年8月 日本経済の実質GDP成長率は年率3.1%増、景気回復の鍵となる雇用と消費の動向を分析

月例経済報告(令和6年8月)(内閣府)

令和6年8月の月例経済報告によると、日本の景気は一部に足踏みが見られるものの、緩やかに回復しています。これに対して、雇用や所得の環境が改善していることや、各種政策の効果が反映されているため、今後もこの回復傾向が続くことが期待されています。しかし、欧米における高い金利の継続や中国の不動産市場の停滞が、海外景気の下振れリスクをもたらし、日本の経済にも影響を与える可能性があるため注意が必要です。さらに、物価上昇や中東地域の情勢、金融資本市場の変動なども、景気に対してリスク要因となり得るため、引き続き注視する必要があります。

個人消費に関しては、持ち直しの動きが見られるものの、一部で足踏みが見られています。特に、消費者マインドの改善が足踏み状態にあることが影響しています。一方で、実質総雇用者所得は持ち直しの動きを見せており、家電販売や新車販売なども回復基調にあるため、消費全体としては緩やかに回復していくことが期待されています。

設備投資については、堅調な企業収益を背景に、持ち直しの動きが継続しています。機械受注やソフトウェア投資の増加がその要因として挙げられ、今後も設備投資は持ち直していく見込みです。

住宅建設に関しては、おおむね横ばいの状態が続いています。持家の着工は底堅い動きを見せている一方で、分譲住宅の着工は弱含んでおり、全体としては横ばいの傾向が続くと見込まれます。

公共投資は堅調に推移しており、公共工事請負金額や公共工事受注額も増加傾向にあります。これにより、今後も公共投資が堅調に推移していくことが期待されます。

輸出と輸入に関しては、いずれもおおむね横ばいの状態が続いています。特にアジアやアメリカ、EU向けの輸出は横ばいで推移しており、貿易・サービス収支は赤字が続いています。先行きについては、海外経済の持ち直しに伴い、輸出も回復基調に乗ることが期待されていますが、海外景気の下振れリスクには留意が必要です。

企業活動の面では、企業収益が総じて改善しており、企業の業況判断も改善が見られます。しかし、倒産件数は増加傾向にあり、7月には953件の倒産が報告されています。また、雇用情勢も改善の動きを見せており、特に労働力人口の増加や就業者数の増加が顕著です。完全失業率は2.5%に低下しており、新規求人数や有効求人倍率も横ばい圏内で推移しています。

物価の面では、国内企業物価や消費者物価が緩やかに上昇しています。企業向けサービス価格や生鮮食品を除く消費者物価も、上昇基調にあります。今後も物価は緩やかに上昇していくことが見込まれています。

金融市場では、日経平均株価が一時37,600円台から31,400円台まで下落しましたが、その後38,200円台まで回復しています。為替レートも、ドルに対して円が一時144円台まで円高となった後、148円台まで円安方向に戻り、再び144円台まで円高に推移しています。長期金利は1.0%台で推移しており、企業の資金繰り状況には大きな変化は見られていません。

最後に、海外経済の状況についても触れておくと、アメリカ経済は拡大が続いており、GDP成長率は年率2.8%増となっています。しかし、中国経済は政策効果による供給増加が見られるものの、景気全体としては足踏み状態が続いています。また、ヨーロッパではユーロ圏やドイツの景気が持ち直しの動きを見せており、英国でも景気が回復基調にあるものの、高い金利水準がリスク要因となっています。

このように、国内外の経済状況を踏まえると、日本経済は緩やかに回復しているものの、依然として不確実性が高く、各種リスク要因に対する慎重な対応が求められています。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ