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2024年9月16日

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2024年9月の食品業界 人件費27.2%増が引き金となった1,392品目の大規模値上げ分析

帝国データバンク「「食品主要195社」価格改定動向調査―2024年9月」(2024年8月30日)

2024年9月の食品業界における価格改定の動向は、企業の採用担当者にも非常に重要な情報となっています。2024年9月には、主要な食品メーカー195社が計1,392品目の価格を引き上げました。この価格改定は、5カ月ぶりに1,000品目を超える大規模なものであり、特に「人件費」由来の値上げが顕著に現れています。人件費の増加が価格に与える影響は2024年に27.2%に達し、これは前年の9.1%と比較して大幅に増加していることがわかります。最低賃金の引き上げや労働者の賃上げが製品価格に反映されていることが背景にあると考えられます。

2024年9月の価格改定において、特に注目すべきはアイスクリーム製品の一斉値上げです。猛暑や干ばつといった異常気象の影響により、原材料である牛乳や砂糖の価格が高騰し、その結果として乳製品やアイスクリームの価格が引き上げられました。また、コーヒーやチョコレート製品においても「ビーンショック」と呼ばれる豆不足が長期化しており、これが価格上昇の一因となっています。さらに、これらの値上げは加工食品や調味料、菓子、飲料など広範な分野に波及しており、2024年通年での平均値上げ率は17%に達する見込みです。

食品業界全体では、原材料の価格高騰が最も大きな値上げ要因となっており、その割合は92.5%に達しています。エネルギーコストの増加や包装資材、物流費の上昇も値上げ圧力を高めています。特に、エネルギーコストに関しては、過去数年の間に一貫して高い水準にあり、2024年においてもその傾向が続いています。これに加え、円安ドル高の影響も見逃せない要因の一つであり、円安による値上げの割合は29.6%に達しています。

また、価格の転嫁に関しては、企業が本体価格の引き上げから内容量の減少や据え置きにシフトする動きが見られます。これは消費者の「値上げ疲れ」に対する対策として行われており、消費者の購買行動にも影響を与えています。特に、食品スーパーなどの小売現場では、値下げ圧力が強まっており、企業にとって価格設定がより難しい局面に入っています。

2024年10月には、再び3,000品目近くの食品が値上げされる見込みであり、これは2024年4月以来の値上げラッシュとなる可能性があります。しかし、年間の値上げ品目数は前年の半分程度の1万5,000品目にとどまると予想されており、値上げの勢いが徐々に後退していることが示されています。

企業の採用担当者にとって、これらの価格動向は、人材確保や賃金設定、労働条件の改善などに影響を与える重要な要素です。特に、最低賃金の引き上げが企業のコスト構造にどのように影響を与えるか、また、その結果として製品価格がどのように変動するかを理解することは、戦略的な採用活動に不可欠です。さらに、異常気象や円安の影響が企業の価格設定にどのように反映されるかを分析することも、企業の競争力を維持するために重要な視点となるでしょう。

以上の分析から、企業が今後の価格設定やコスト管理において、どのような戦略をとるべきかを検討するための材料が得られます。特に、2024年以降の値上げ圧力がどのように推移するかを見極めることが、持続的な成長を達成するために重要となるでしょう。

⇒ 詳しくは帝国データバンクのWEBサイトへ

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