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2025年4月4日

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2024年のアクセシビリティ対応ICT機器は16件!

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「情報アクセシビリティ好事例2024」の公表(総務省)

令和7年3月19日、総務省は「情報アクセシビリティ好事例2024」を発表した。この取り組みは、誰もがデジタル技術の利便性を享受し、豊かな生活を送ることができる社会の実現を目指し、特に情報アクセシビリティに優れたICT機器やサービスを選定し、公表するものである。今年度は、審査の結果16件の製品やサービスが選ばれた。

この取り組みは、広く国民に情報アクセシビリティに配慮した製品を知ってもらうとともに、企業や団体の取り組みを奨励することを目的としている。ICT技術の進化により、デジタルデバイスは日常生活に欠かせないものとなっているが、一部のユーザーにとってはアクセスが困難な場合もある。特に、高齢者や障害を持つ人々にとって、ICT機器やサービスの利便性が確保されているかどうかは、社会参加や情報取得の機会を左右する重要な要素となる。

今年度の「情報アクセシビリティ好事例2024」では、多様な製品やサービスが選ばれた。例えば、株式会社グラファーの「Graffer スマート申請」は、あらゆる行政手続きをオンラインで行えるサービスで、視覚や運動障害を持つ人々でも簡単に手続きができるよう設計されている。ウェブアクセシビリティの基準であるWCAG 2.1のレベルAAに準拠し、キーボード操作のみで手続きを完了できるようになっている点が評価された。

また、東芝テック株式会社の「e-BRIDGE Plus for Voice Guidance」は、視覚に頼らずにコピー操作ができる複合機の機能である。音声ガイダンスを活用し、画面の任意の場所をタップするだけで操作が可能となるため、視覚障害者でも容易に利用できる。こうした機器の導入が進めば、障害の有無にかかわらず誰もがオフィス機器を使いこなせる環境が整うことになる。

一方、フリー株式会社の「freee支出管理 小口現金」は、紙ベースで管理されていた小口現金出納帳をデジタル化し、リアルタイムで管理できるサービスだ。スクリーンリーダーに対応しており、視覚障害者でも利用しやすい設計になっている。企業内での経理業務を円滑にするだけでなく、アクセシビリティにも配慮した点が評価された。

さらに、プロメトリック株式会社の「試験配信ソリューションのウェブサイト」は、コンピュータベースの試験(CBT/IBT)の提供を通じて、誰もが公平に試験を受けられる環境を整備している。試験会場では、視覚や聴覚に障害のある受験者への合理的配慮が提供されており、車椅子での受験や音声読み上げ、代理入力などが可能となっている。

弁護士ドットコム株式会社の「CloudSign(クラウドサイン)」は、電子契約サービスであり、視覚障害者や身体障害者が単独で契約書を確認し、署名できるようになっている。スクリーンリーダー対応やキーボード操作の最適化など、ユーザーの多様なニーズに応える工夫がなされている。

これらの好事例に共通するのは、情報アクセシビリティの向上を目指し、実際に障害当事者の意見を取り入れて開発が進められている点である。例えば、多くの企業では、開発プロセスの初期段階から障害当事者や支援者の意見を反映し、製品の改良を重ねている。また、企業内でのアクセシビリティに関する研修の実施や、合理的配慮を提供する専門部署の設置など、組織的な取り組みも進んでいる。

「情報アクセシビリティ好事例2024」の審査では、製品やサービスのアクセシビリティ対応、当事者ニーズを踏まえた開発、企業としての取り組みの3つの観点が重視された。特に、障害のあるユーザーが実際に開発段階から関与し、フィードバックを提供する体制が整っているかどうかが評価のポイントとなった。

今後の課題として、選定された製品やサービスがより広く社会に普及することが求められる。例えば、行政機関や企業において、アクセシビリティに配慮したサービスの導入が進むことで、より多くの人が利用できる環境が整う。また、情報アクセシビリティの向上は、障害者だけでなく高齢者や外国人など、多様なユーザーの利便性向上にもつながる。

「情報アクセシビリティ好事例2024」は、デジタル社会の未来に向けた重要な一歩である。今後も、企業や団体がアクセシビリティの確保に積極的に取り組むことで、より包括的で公平な社会の実現が期待される。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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