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2025年2月17日

労務・人事ニュース

2025年の業況見通し 生活衛生業界の景気指数▲12.9、採用戦略の見直しが急務(2024年10-12月期)

生活衛生関係営業の景気動向等調査結果(2024年10-12月期)(日本公庫)

2024年10月から12月期における生活衛生関係業界の景況調査では、多くの企業が厳しい経営環境に直面していることが明らかになった。特に、業況判断DIは前期から2.1ポイント低下し▲7.4となり、来期(2025年1月~3月期)の見通しではさらに5.5ポイント低下し▲12.9となることが予測されている。売上DIも同様に、前期から6.9ポイント低下し▲2.3となり、来期にはわずかに回復するものの▲1.3と依然としてマイナスの状況が続く見込みだ。これらの数値は、業界全体として厳しい状況が続いていることを示している。

さらに、採算DIは前期比3.9ポイント低下し▲2.8となり、多くの企業がコスト増加に伴う利益圧迫を受けていることがわかる。最も深刻な問題として挙げられているのが「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難」という点であり、全業種で54.7%がこの問題を指摘している。続いて「顧客数の減少」(40.3%)、「従業員の確保難」(19.8%)といった経営課題が挙げられており、人手不足や価格転嫁の難しさが業績の停滞を招いている状況が見えてくる。

業種別に見ると、飲食業全体の業況判断DIは▲8.4と大きく落ち込んでおり、特に「すし」業態(▲11.3)や「社交業」(▲11.1)といった業種での低迷が目立つ。一方で、ホテル・旅館業(▲11.9)は、インバウンド需要の増加や国内観光の回復傾向があるものの、従業員の確保難やコスト高騰の影響を受け、経営環境は厳しいままである。

利用客数DIに関しては、前期から6.5ポイント低下し▲15.1となり、多くの業種で集客が課題となっている。特に映画館(▲50.0)や美容業(▲33.2)といった業種では顕著に来店客数の減少が見られる。客単価DIは前期から1.4ポイント低下したものの8.4とプラス圏を維持しており、一部の業種では価格改定による客単価向上が見られるものの、全体としては厳しい経営状況が続いている。

設備投資の動向をみると、2024年10月~12月期に設備投資を行った企業の割合は18.7%と前期から0.3ポイント低下。設備投資の内容としては「機器・機械(44.3%)」が最も多く、「店舗・事務所の修繕(27.2%)」や「空調設備(22.4%)」が続く。来期(2025年1~3月期)には「設備投資を実施予定」と回答した企業が12.3%と減少しており、投資意欲の低下が懸念される。

業況判断の背景には、業種ごとの異なる課題がある。例えば、そば・うどん業態では「原材料費の高騰」が続いているが、消費者の節約志向が強まり、価格転嫁が難しい状況にある。一方、中華料理業態では「町中華ブーム」が続いており、売上増加が見られるケースもある。しかし、従業員の確保難が依然として課題となっており、十分な営業ができない企業も多い。

ホテル・旅館業では、円安によるインバウンド需要の増加が見られるものの、従業員不足が深刻であり、予約数を制限せざるを得ないケースが増えている。公衆浴場業ではサウナブームが一定の集客効果をもたらしているものの、設備の老朽化による維持コストの増加が経営の重荷となっている。

今後の展望としては、企業は仕入価格や人件費の高騰への対応策を模索しつつ、価格転嫁の可能性を慎重に検討する必要がある。また、人手不足が慢性化する中で、デジタル技術の活用や業務効率化による対応が求められる。加えて、業種ごとに異なる消費者ニーズに適応し、価格改定や新たな販促施策の導入が必要になる。

このように、2024年10~12月期の生活衛生関係業界の経営環境は依然として厳しい状況が続いており、2025年に向けての経営戦略が重要な鍵を握ることになる。各企業は、厳しい状況の中でも持続可能な経営を目指し、変化する市場環境に適応していくことが求められている。

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ