労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 2025年度賃上げ予定48.5%、中小企業の賃金動向

2025年1月19日

労務・人事ニュース

2025年度賃上げ予定48.5%、中小企業の賃金動向

2024年12月 業況DIは、年末需要の下支えにより、改善。先行きは、さらなるコスト増の懸念から厳しい見方(LOBO調査)

2024年12月の調査結果を基に、中小企業の業況について詳述します。今回の調査では、全産業合計の業況DIが▲14.4と、前月比で1.9ポイントの改善が見られました。これは年末需要の増加が寄与した結果であり、サービス業や小売業、卸売業、建設業などの多くの業種で改善が観察されました。一方で、製造業は厳しい状況が続いており、全体的な課題も山積しています。

サービス業は特に忘年会需要や観光需要の高まりを背景に、飲食業や宿泊業を中心に改善が進みました。また、小売業においても、クリスマス商戦や年末の特需が百貨店などの売上を押し上げ、改善に寄与しました。卸売業では農畜産水産物や機械器具関係での引き合いが増加し、建設業では公共工事の需要が引き続き業況を支えました。

一方で、製造業は、自動車関係の需要が伸び悩むなどの影響で業況は悪化しました。また、円安基調が続く中、原材料費や電気料金の高騰、深刻な人手不足などが多くの企業にとって課題となっており、これが業況回復の妨げになっています。さらに、労務費を含むコストの価格転嫁が遅れていることも中小企業にとって大きな足かせとなっています。

将来の見通しについては、先行き見通しDIが▲17.1と、今月比で2.7ポイント悪化しており、厳しい見方が続いています。これには、物価上昇や燃料油価格激変緩和補助金の縮小などが影響しています。また、人手不足の影響による機会損失や、価格転嫁の難しさから生じる経営課題も引き続き中小企業を取り巻いています。

地域別に見ても、サービス業や小売業では年末需要がプラスに作用する一方で、建設業や製造業では資材価格の高騰や人手不足が課題として浮上しています。例えば、北海道では除雪需要や公共工事が業況を支えていますが、北陸信越では資材コストの高騰が収益を圧迫している状況が見られます。

こうした中、多くの企業が2025年度の賃金引き上げを計画しており、全体の48.5%が所定内賃金を引き上げる予定と回答しました。特に、業績が改善していないながらも賃上げを実施する「防衛的な賃上げ」を行う企業が67.2%と高い割合を占めています。この動きは、人材確保や定着を目的としており、賃上げが企業の経営にとって重要な施策であることを示しています。一方で、賃上げを行わない理由としては、経営環境の不透明さや価格転嫁の難しさが挙げられています。

中小企業にとって、こうした厳しい経営環境を乗り越えるためには、効率的な人材活用や新たな収益源の確保が求められます。具体的には、地域の特性を生かした観光資源の活用や、公共事業への参画、新技術や新製品の開発などが解決策となるでしょう。また、価格転嫁をスムーズに進めるための市場環境整備も重要な要素となります。

今後の日本経済の動向を見通すうえで、消費者物価指数の動きや政策対応の行方が鍵となります。企業としては、これらの外部要因を注視しながら、戦略的な経営判断を行うことが求められます。

⇒ 詳しくはLOBO調査のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ