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2025年2月17日

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2025年1月の中小企業景況調査 売上げDIはマイナス2.7、先行き見通しは3.9ポイント改善

中小企業景況調査(2025年1月調査)(日本公庫)

2025年1月の中小企業の景況感について、日本政策金融公庫が発表した最新の調査結果によると、売上げや利益の低迷が続く中、今後の売上げ見通しはやや回復の兆しを見せている。しかし、仕入価格の上昇や生産設備の過剰感、従業員の不足感が続いており、企業の採用戦略や設備投資計画に影響を与えていることが明らかになった。

1月の売上げDI(増加企業の割合から減少企業の割合を引いた指数)はマイナス2.7となり、12月から1.8ポイント低下した。これにより、中小企業の売上げ状況は引き続き厳しい状況にあることが確認された。ただし、今後3カ月の売上げ見通しDIは3.9と、12月から6.8ポイント上昇しており、企業の間では先行きに対してやや楽観的な見方が広がりつつある。

利益額DIはマイナス1.8となり、12月から1.2ポイントの改善が見られたが、依然として赤字企業の割合が多く、収益面での厳しさは続いている。黒字企業割合から赤字企業割合を引いた値は28.4となり、12月から2.8ポイント上昇したものの、依然として利益確保が難しい状況がうかがえる。

価格面では、販売価格DIが8.6と12月から2.5ポイント低下した。一方で、仕入価格DIは26.7となり、12月から0.9ポイント上昇した。これは、原材料やエネルギー価格の高止まりによるコスト上昇圧力が企業に影響を与えていることを示している。販売価格の引き上げが難しい状況の中、仕入価格の上昇は利益確保を一層困難にしている。

人手不足の問題も依然として深刻であり、従業員判断DIは6.4と12月から0.2ポイント低下した。これは、採用が難しい状況が続いていることを示しており、人材確保の難しさが企業経営に影響を与えている。特に、製造業や建設業では人手不足感が顕著であり、新たな採用を進めたくても適切な人材を確保するのが困難な状況となっている。

生産設備の判断DIはマイナス8.5と12月から1.3ポイント悪化した。これは、企業が設備投資に慎重な姿勢を取り続けていることを反映している。需要の先行きが不透明な中、設備投資を抑制する動きが続いており、特に製造業においては新規設備投資を見送る企業が多い。

資金繰りに関しては、資金繰りDIが0.7と12月から1.7ポイント低下し、企業の間で資金繰りの厳しさが増していることが分かった。一方で、金融機関の貸出態度DIは26.0となり、12月から0.7ポイント低下したものの、引き続き金融機関の融資姿勢は比較的緩和的であることが示された。

これらのデータを踏まえると、中小企業の経営環境は依然として厳しいものの、今後の売上げの見通しは改善傾向にあり、一部の企業では回復の兆しが見え始めている。しかし、仕入価格の上昇や人手不足、設備投資の停滞が経営の足かせとなっており、特に採用や資金繰りに慎重な対応が求められる状況が続いている。

今後、企業は人材確保のための対策を強化する必要があり、特にデジタル技術の活用や働き方の柔軟性を高める取り組みが求められる。また、コスト管理の観点から、サプライチェーンの見直しやコスト削減策の徹底も重要となるだろう。設備投資に関しては、慎重な姿勢を取りつつも、長期的な成長に向けた投資を検討する企業も増えると予想される。

全体として、中小企業の景況感は依然として不透明感が強いが、売上げの回復傾向を活かし、適切な経営判断を行うことが重要となる。企業の採用担当者にとっては、人材確保の難しさが続く中で、求職者にとって魅力的な職場環境を提供することが求められる。

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ