2025年3月5日
労務・人事ニュース
2025年1月の訪日外客数3,781,200人、前年比40.6%増の急成長がもたらす採用市場の変化
訪日外客数(2025年1月推計値)1月:3,781,200人、単月過去最高を大幅に更新(JNTO)
令和7年(2025年)2月19日、日本政府観光局(JNTO)は、2025年1月の訪日外客数(推計値)を発表した。それによると、1月の訪日外客数は3,781,200人に達し、前年同月比で40.6%の大幅増加を記録した。これは、過去最高だった2024年12月の3,489,800人を上回り、単月として初めて370万人を突破する結果となった。
この急増の要因として、2024年は2月に迎えた旧正月(春節)が、2025年は1月に訪れたことが挙げられる。アジア圏を中心に、旧正月に合わせた旅行需要が高まり、日本への訪問者が増加した。また、ウィンタースポーツ需要の増加により、オーストラリアやアメリカなどの市場でも訪日客が大幅に増加したことも背景にある。
国別の訪日外客数を分析すると、韓国からの訪日客は967,100人で前年同月比12.8%増となり、単月として過去最高を記録した。為替レートがウォン安傾向にあったものの、旧正月の連休による海外旅行需要の増加や、仁川~熊本、新千歳などの期間増便・チャーター便の運航が寄与した。中国からの訪日客は980,300人で前年同月比135.6%増と、大幅な伸びを見せた。1月下旬から始まった冬休みや春節の影響に加え、北京~新千歳、上海~那覇、広州~福岡などの地方路線の増便が影響を与えた。台湾からの訪日客も593,400人で前年同月比20.5%増となり、高雄~新千歳、台北~北九州などのチャーター便の運航が貢献した。香港からの訪日客は243,700人で前年同月比30.8%増となり、航空座席数の増加が影響を及ぼした。
東南アジア市場では、タイの訪日客が96,800人(前年同月比6.9%増)、シンガポールが45,700人(同33.9%増)、マレーシアが75,000人(同133.8%増)、インドネシアが63,200人(同53.1%増)、フィリピンが72,200人(同27.2%増)、ベトナムが50,400人(同13.0%増)となった。特にマレーシアでは、クアラルンプール~新千歳の増便や、旧正月とスクールホリデーの重なり、通貨リンギットの高騰などが訪日客増加の要因となった。
また、北米・オセアニア市場においても訪日客数の伸びが顕著だった。オーストラリアからの訪日客は140,200人(前年同月比35.3%増)となり、スキーやスノーボードといったウィンタースポーツ需要が引き続き高まっていることが要因とされた。米国からの訪日客は182,500人(同38.4%増)で、混雑を避けるために1月を選ぶ訪日旅行者の増加が影響を与えた。カナダからの訪日客も42,300人(同33.6%増)と好調だった。
欧州市場においては、英国が26,400人(前年同月比33.3%増)、フランスが16,500人(同14.2%増)、ドイツが12,700人(同22.1%増)、イタリアが8,800人(同27.9%増)、スペインが7,400人(同55.2%増)、ロシアが4,900人(同51.1%増)といずれも増加した。特にスペインでは、2024年10月に再開された直行便の影響により、アクセスの利便性が向上したことが影響を与えた。
さらに、北欧地域からの訪日客は9,200人(前年同月比23.7%増)となり、ストックホルム~羽田の新規就航に向けたプロモーションの影響が大きかった。中東地域では、訪日客が11,900人(同102.2%増)と、前年同月比で2倍以上の増加となった。スクールホリデーや直行便の増加が影響したとみられる。
これらのデータからも分かるように、日本の観光業界は急速に回復し、過去最高の訪日外客数を記録する市場が相次いでいる。特に、ウィンタースポーツや旧正月の影響を受けた市場では、今後も訪日旅行の人気が続くと予想される。また、訪日旅行の人気が高まる中で、宿泊施設や観光施設、交通インフラの整備が求められており、関連する業界において人材確保が重要な課題となる。
企業の採用担当者にとって、観光業界の成長は新たな雇用機会を創出するチャンスとなる。観光ガイドやツアープランナー、ホテルスタッフ、レストランサービススタッフの需要が増加することは明らかである。また、デジタルマーケティングやインバウンドプロモーション、外国人旅行者向けのカスタマーサービスに精通した人材の需要も拡大している。さらに、訪日外国人旅行者の増加に伴い、多言語対応が可能なスタッフの確保も求められている。
今後の観光市場においては、各地域での受け入れ体制の強化や、新たな観光コンテンツの開発が鍵を握ることになるだろう。持続可能な観光の実現に向けて、企業の役割も大きくなっていくことが予想される。
⇒ 詳しくは日本政府観光局のWEBサイトへ