2025年2月23日
労務・人事ニュース
2025年3月、自動運転トラックが新東名を走る!日本初の深夜優先レーンで実証実験
新東名高速道路における自動運転トラックの実証実験を開始 ~自動運転車優先レーンを活用し自動運転トラックの走行をインフラから支援~(国交省)
国土交通省道路局と国土技術政策総合研究所、中日本高速道路株式会社は、2025年3月3日から新東名高速道路の駿河湾沼津SAから浜松SAの区間において、自動運転トラックの実証実験を開始する。自動運転技術を活用し、安全で効率的な物流システムの構築を目指すものであり、特に深夜時間帯におけるトラックのスムーズな走行を支援することを目的としている。この実証実験では、レベル4の自動運転技術が活用され、自動運転車優先レーンの設定や、路車協調システムを用いた各種の支援が行われる。
実験の最大の特徴は、自動運転車優先レーンの活用にある。深夜の22時から翌朝5時の時間帯に、第1通行帯を自動運転トラック専用の優先レーンとし、一般の車両は極力このレーンを避けるよう促される。これにより、自動運転トラックがスムーズかつ安全に運行できる環境を整えるとともに、交通の流れを効率的に管理することが可能となる。この優先レーンの設置は、混雑の少ない時間帯を狙っており、実証実験の成功が確認されれば、将来的には本格運用へと移行する可能性もある。
また、この実証実験では、複数の技術検証が行われる予定だ。まず、自動発着システムの検証として、自動運転トラックが駐車や発進を完全に自動で行えるかどうかを確認する。これは将来的な無人運転の実現に向けた重要なステップとなる。さらに、先読み情報提供システムの実証も行われる。このシステムでは、道路前方の情報を車両がリアルタイムで取得し、適切な判断を行うことが可能となる。例えば、工事規制や落下物の情報が路側機から提供されることで、運転の安全性が向上する。
加えて、合流支援情報提供システムも導入される。これは、合流地点において自動運転トラックが他の車両と安全に合流できるように支援するもので、路側機が提供する情報をトラックがリアルタイムで受信し、適切な速度調整を行うことで、スムーズな合流を実現する。この技術により、トラックの急減速や急加速を防ぎ、より快適で安全な運行が可能となる。
今回の実証実験では、国土交通省や中日本高速道路株式会社だけでなく、複数の関係省庁が連携して取り組んでいる。警察庁、総務省、経済産業省などが協力し、法的な枠組みの整備や技術面での支援を行うことで、自動運転トラックの本格導入に向けた環境整備を進めている。このような官民一体の取り組みは、物流業界の未来を大きく変える可能性を秘めている。
自動運転技術の発展は、物流業界にとって画期的な変化をもたらすものだ。近年、物流業界ではドライバー不足が深刻化しており、特に長距離輸送を担うトラックドライバーの確保が難しくなっている。国土交通省の調査によると、2030年にはドライバー不足がさらに深刻化し、輸送能力が現在の7割程度にまで低下する可能性が指摘されている。このような状況下で、自動運転技術を活用した物流システムの構築は、持続可能な物流の確立に向けた重要な施策となる。
また、自動運転トラックは、運行の効率化やコスト削減にも大きく寄与する。通常のトラック運行では、ドライバーの休憩や労働時間の制限があり、長距離輸送においては途中で交代要員を確保する必要がある。しかし、自動運転技術を導入することで、運行時間の制限を受けることなく、より効率的な運行が可能となる。さらに、燃費の向上やCO2排出量の削減といった環境面でのメリットも期待されている。
実証実験の成功が確認されれば、自動運転トラックの本格導入が加速する可能性がある。現在、欧米を中心に自動運転技術の開発が進められており、日本国内においても競争力を維持するためには早期の導入が求められる。今回の実証実験を通じて、日本の技術力の高さを示すとともに、将来的な物流のあり方を見据えた取り組みを進めていくことが求められる。
この実証実験の開始に伴い、3月3日の日中には報道関係者向けの現場公開が予定されている。実際に自動運転トラックが走行する様子を確認することができる貴重な機会となるため、多くのメディア関係者の注目が集まっている。また、今後の実験結果についても随時公表される予定であり、今後の展開に期待が高まる。
今回の取り組みは、単なる技術実証にとどまらず、今後の物流業界のあり方を大きく変える可能性を秘めている。自動運転技術の活用により、安全性の向上、運行の効率化、環境負荷の低減といった多くのメリットが期待されており、今後の動向に注目が集まる。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ