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2025年4月10日

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2025年1月サービス産業売上高33.4兆円に到達 前年同月比5.6%増

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「サービス産業動態統計調査」2025年(令和7年)1月分(速報)(総務省)

2025年1月に総務省統計局が発表した「サービス産業動態統計調査」によると、日本全体におけるサービス産業の月間売上高は33兆3920億円にのぼり、前年同月と比べて5.6%の増加となりました。これは2024年12月の前年比2.7%増から2.9ポイント上昇した結果であり、直近の推移としても注目すべき大幅な伸びといえます。このような増加は39か月連続で前年同月を上回る形となっており、持続的な回復基調を強く印象づけるものです。

売上の増加に最も大きく寄与したのは「情報通信業」で、全体の中でもっとも顕著な伸び率である12.6%の増加を記録しました。金額にして5兆8411億円となり、同業種としては過去数年間でも非常に高水準な実績といえます。この成長の背景には、クラウドサービスやAI関連ビジネスの拡大、デジタル化ニーズの継続的な高まりがあると見られています。特にインターネット付随サービス業が18.2%増、情報サービス業が15.4%増と、業界内部でも中分類ごとに差異はあるものの、全体としての成長性は非常に安定しています。

また、「運輸業,郵便業」も前年比8.5%増、売上総額5兆1790億円を記録しており、こちらも46か月連続で前年同月を上回る推移を見せています。近年におけるEC市場の拡大や物流再構築の動きが、この分野における成長を支えていると分析されます。特に航空運輸業および郵便業(信書便含む)は前年比24.2%増と非常に高い伸び率を示しており、人材確保の必要性がますます高まる分野でもあります。

「サービス業(他に分類されないもの)」については3兆5929億円、前年比9.2%の増加となり、7か月連続での前年超えを記録しました。この区分には職業紹介・労働者派遣業やその他の事業サービスが含まれており、雇用市場の活性化を示すひとつの指標ともいえる結果です。特に職業紹介・労働者派遣業は15.3%の増加で、企業の人材確保ニーズと、それに対応する人材供給市場の拡充が着実に進んでいることがうかがえます。

一方で、「不動産業,物品賃貸業」は前年比1.4%の減少(売上4兆7414億円)、「教育,学習支援業」も0.6%減(売上3143億円)と、マイナスの推移となった業種もありました。これは経済全体の構造的なシフトや、オンライン教育の台頭による従来型サービスの低下などが要因として考えられます。採用担当者にとっては、これらの業界における人材の流出傾向を把握し、他業界での人材確保に向けたチャンスとして戦略を立てることが求められます。

また、2025年1月のサービス産業全体の事業従事者数は3,038万人となり、前年同月比で0.5%の増加を記録しました。これは労働市場の回復が続いていることを示すものですが、売上高の伸びに比べると人員の増加が抑制されている点は注目に値します。つまり、業績回復や業務量の増大がある一方で、人材確保や労働供給がそれに追いついていない可能性を示唆しています。このような状況下では、より高いスキルを持つ人材の確保、あるいは労働環境の改善による人材定着が採用担当者にとって大きな課題となります。

産業別に見ると、「宿泊業,飲食サービス業」は前年同月比で7.3%増となり、売上は2兆708億円に達しました。事業従事者数は490万人、1.6%増であり、労働集約型の業態であるにもかかわらず、売上高の伸びと人員増加がほぼ連動している点が特徴的です。観光需要の復調や外食回帰の流れが背景にあると考えられ、引き続き人手不足が課題となる領域です。

「医療,福祉」分野では、売上高が5兆4984億円、前年同月比で3.4%の増加、従事者数は892万人、0.4%増でした。高齢化の進展により安定的な需要が見込まれる分野であり、今後も中長期的に人材需要が継続する分野であることが確認できます。

総じて、2025年1月時点でのサービス産業全体における成長傾向は明らかであり、とくにIT・物流・対人サービスにおける人材需要の高さが顕著です。企業の採用担当者はこれらのデータから、人材の供給と需要が乖離する領域を正確に把握し、先回りして採用戦略を練る必要があります。また、数値が示すように、業界全体としての回復が進んでいる一方で、労働力の供給が遅れている分野も存在しており、人材獲得競争が激化することが予測されます。

この調査結果は、単なる統計数値にとどまらず、各企業にとっての採用方針や人材配置戦略の再構築に直結する極めて重要な情報となります。これまでの経験則や直感に基づく採用判断だけではなく、こうした公的かつ精緻な統計データを基盤とした意思決定が、今後の企業運営においてより一層求められていくでしょう。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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