労務・人事ニュース

水星が西方最大離角（2025年12月）（国立天文台）

2025年12月8日、水星が西方最大離角を迎える。水星は太陽系で最も内側を公転する惑星であり、常に太陽の近くに位置しているため、観察のチャンスは限られる。その中でも「最大離角」の時期は、水星が太陽から最も離れて見えるため、比較的観測しやすいタイミングとなる。特に今回の西方最大離角の時期は、東京では11月30日から12月16日までの間、日の出30分前の水星の高度が10度を超えるため、観測に適している。

水星は一般的に明け方や夕方の低空に見られることが多く、他の惑星に比べて観察が難しいとされている。その理由は、水星の公転軌道が地球に対して太陽のすぐ近くにあるためであり、地平線付近に昇っても、すぐに日の出の明るさにかき消されてしまうからである。しかし、今回の観測機会では、日の出前に高度が10度を超える時間帯が続くため、視界が開けた場所を選べば、比較的容易に水星を確認することができるだろう。

水星の明るさはこの期間中に変化し、12月1日から16日の間に0.1等からマイナス0.5等に増す。その後も月末にかけてはマイナス0.5等以上の明るさを維持するため、視界が開けた場所を選べば、ある程度の高度を確保できなくても発見しやすい可能性がある。ただし、水星は非常に低い位置に見えるため、観察する際には東の空が広く開けた場所を選ぶことが不可欠である。ビルや山、樹木などに遮られない場所で観察することで、水星の出現を確認しやすくなる。

また、水星を観察する際には、天候の影響も重要な要素となる。低空に雲がある場合、光が遮られてしまい、水星を発見することが難しくなる。特に冬場は天候が不安定になりがちであり、快晴の日を選んで観察することが望ましい。さらに、夜明け前の空はすでに少し明るくなり始めているため、肉眼での観察が難しいと感じた場合は、双眼鏡を使用すると水星を見つけやすくなる。ただし、双眼鏡を使う場合には、日の出後に太陽を誤って見ないように注意する必要がある。特に太陽が昇る直前は、観察を終了し、安全を確保することが重要である。

今回の西方最大離角の観測を成功させるポイントの一つは、水星の位置を事前に把握しておくことである。天文アプリや星図を活用して、水星の出現方向を事前に確認しておくと、よりスムーズに観察を進めることができる。また、12月の早朝は非常に冷え込むため、防寒対策をしっかり行い、温かい服装を準備することが必要となる。特に、長時間屋外で観察する場合は、手袋やマフラー、帽子などを着用し、冷え込みによる体調の変化を防ぐことが大切である。

水星はその神秘的な存在から、古くから天文学者や観察者の関心を集めてきた惑星である。最も内側を公転する惑星であるため、太陽に対する見かけの位置が大きく変化し、最大離角の時期を除けば観察するのが非常に難しい天体である。水星を観察することは、惑星の運行や太陽系の仕組みを理解する上でも興味深い体験となるだろう。

今回の水星の西方最大離角は、2025年最後の観測機会の一つとなるため、夜明け前の時間を利用して、この貴重な天文現象を楽しんでみてはいかがだろうか。特に天文に関心のある人にとっては、日の出前の静寂の中で、水星を発見する喜びを味わえる貴重な体験となることだろう。

⇒ 詳しくは大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台のWEBサイトへ