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2025年5月15日

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2025年3月の大阪府有効求人倍率1.23倍、採用競争激化にどう備えるべきか

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大阪労働市場ニュース(令和7年3月分)(大阪労働局)

令和7年5月1日に大阪労働局が発表した最新の労働市場動向によると、現下の雇用失業情勢は、依然として改善の動きが鈍化していることが明らかとなった。特に、有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍となり、前月比で0.02ポイント上昇したものの、景気全体に対する楽観的な見方を裏付けるには至らなかった。有効求人数(季節調整値)は190,804人であり、前月より0.2%減少して2か月連続の減少となった。一方、有効求職者数(季節調整値)は155,634人で、前月より1.5%減少し、4か月連続の減少を記録した。

就業地別にみると、大阪府内の有効求人倍率(季節調整値)は1.04倍で、前月と同水準を維持している。これは、求人が求職をわずかに上回る状況が続いていることを示している。ただし、依然として就職を希望する人全員が容易に仕事を見つけられる環境にはないことも浮き彫りになっている。新規求人倍率(季節調整値)は2.83倍となり、前月比0.33ポイント上昇している。新規求人数(季節調整値)は70,086人で、前月より12.3%増加し、3か月ぶりの増加を示した。これは、企業の採用活動が一部回復してきた兆しといえるが、楽観視は禁物である。

近畿地方全体における有効求人倍率(季節調整値)は1.16倍となり、全国平均である1.26倍をやや下回っている。大阪府単独で見ると、有効求人倍率は前年度に比べて0.06ポイント低下しており、3年ぶりの低下となった。また、有効求人数(原数値・月平均)は194,676人で、前年より5.7%減少して4年ぶりに減少に転じた。これに対し、有効求職者数(原数値・月平均)は161,074人で前年より0.8%減少しており、こちらは3年連続の減少となった。つまり、求人数も求職者数も減少しているが、求人側の減少幅が大きいため、労働市場の需給バランスがやや緩みつつあると分析できる。

さらに、新規求人数(原数値・年度計)は799,182人で、前年より5.8%減少して2年連続の減少となった。新規求職申込件数(原数値・年度計)も309,885件で、前年より1.8%減少して3年連続で減少している。このようなデータから、大阪府内では新たな雇用創出にやや苦戦している状況がうかがえる。企業にとっては人手不足感が続いている一方で、求職者にとっては選択肢が減少している現実があるため、採用活動においても戦略的な工夫が求められる局面といえる。

産業別に新規求人動向を見てみると、製造業や建設業、卸売・小売業、運輸業などで前年同月比マイナスとなっている一方、宿泊業・飲食サービス業は前年同月比で83.5%もの大幅な増加を示している。これはコロナ禍からの回復を背景とした需要の急増によるものと考えられる。しかし一方で、宿泊業・飲食サービス業の新規求人の多くは非正規雇用であり、安定的な労働環境の確保には課題が残されている。

労働市場における年齢別動向を見ると、24歳以下、25歳から34歳、35歳から44歳、45歳から54歳の各層において新規求職申込件数が前年同月比で減少しており、55歳以上の層のみが前年同月比で増加している。若年層から中高年層にかけての求職活動がやや縮小している背景には、景気回復に伴う転職意欲の低下や、企業側の採用抑制の影響が考えられる。

正社員に関しては、正社員有効求人倍率が前年同月比で0.01ポイント上昇しており、正社員求人の需要は底堅さを見せている。特に専門技術職や介護関連職種においては有効求人倍率が3倍を超えており、これらの分野では引き続き人材確保が大きな課題となっている。

大阪府における完全失業率は、全国平均と同水準の2.5%から2.6%前後で推移している。なお、ハローワークにおける就職件数は前年同月比で微減しており、就職活動の成果が伸び悩んでいる様子も確認できる。雇用保険関係業務では、被保険者数が前年同月比で34か月連続増加となっており、雇用の維持に一定の成果が表れているものの、受給資格決定件数は微減傾向にあり、失業給付に頼らず再就職する動きが見られることも注目すべき点である。

以上のデータを踏まえると、大阪府においては全体として雇用情勢は安定しているものの、緩やかな後退局面に入りつつあると考えられる。企業の採用担当者にとっては、求職者の減少により採用難が続く一方で、ミスマッチのリスクも高まっている現状を的確に捉えることが重要である。特に専門性の高い職種や高齢者層においては、引き続き積極的な採用活動と職場環境整備が求められている。

⇒ 詳しくは大阪労働局のWEBサイトへ

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