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2025年5月23日

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2025年5月18日からEU向けに有機酒類の輸出が解禁、輸出人材の確保が急務に

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有機酒類や有機畜産物が輸出可能になります!(農水省)

2025年5月18日より、日本の有機JAS認証を受けた有機酒類や有機畜産物、さらにはそれらを原材料とした有機加工食品が、正式に「有機(organic)」の表示を付けた上でEU加盟国へ輸出できるようになります。これは日本と欧州連合(EU)との間で進められてきた有機農産物の認証制度に関する協議の成果であり、これまで主に有機農産物と有機農産物加工食品が対象となっていた枠組みに、新たに有機酒類と有機畜産物が加わることになります。これにより、日本国内で厳格な管理の下に生産された高品質な有機日本酒や有機和牛といった商品が、EU市場へよりスムーズに輸出される道が開かれることとなります。

この動きの背景には、日本国内の制度改正が大きく関わっています。2020年7月には日本で有機畜産物の表示に関する規制が導入され、さらに2022年10月からは有機酒類が有機JAS制度の対象に加えられました。こうした制度整備を受けて、農林水産省と国税庁はEU側と協議を重ね、最終的に相互の認証制度における同等性が認められるに至りました。これにより、輸出入の手続きが簡素化され、通関時の負担や手数料も軽減されるため、今後の輸出拡大が期待される状況となっています。

日本からEU加盟国への輸出については、有機JAS制度に基づき、最終的に日本国内で生産・加工・格付けされた有機酒類や有機畜産物が対象となります。これらはすべて、日本農林規格に準拠している必要があり、有機加工食品については令和4年9月1日付の財務省・農林水産省告示第18号、有機畜産物については平成17年10月27日付の農林水産省告示第1608号に基づく基準が適用されます。この制度の発効日は2025年5月18日で、以降は正式に「organic」と表示してEU市場に輸出できるようになります。

一方で、EU加盟国から日本への輸入についても同様の相互承認が適用されます。EUの有機基準であるRegulation(EU)2018/848に準拠して生産・加工・認証された有機酒類や有機畜産物、またそれらを原料とした有機加工食品が対象となります。これらは日本国内で有機JASの表示を行うことが可能となり、その発効日は2025年5月16日です。これにより、EUからの有機ワインや有機チーズといった商品の輸入がより柔軟に行えるようになり、日本の消費者にとっても選択肢が広がる結果となります。

この制度変更は、輸出入業務を行う企業にとっても大きなチャンスです。とりわけ、地方で有機酒類を製造している中小規模の酒蔵や、有機畜産を営む農業法人にとっては、これまでアクセスが難しかった欧州市場への参入が現実味を帯びてきました。また、EU市場は有機食品に対する需要が高く、特にフランスやドイツ、イタリアなどでは、有機認証を受けた商品への信頼が厚い傾向にあります。こうした背景から、有機JAS認証の取得が輸出戦略の鍵を握ると言っても過言ではありません。

企業の採用担当者にとっては、こうした国際基準に対応できる人材の確保が急務となるでしょう。有機JAS認証に関する知識や、海外輸出における認証業務の経験を持つスタッフ、さらには海外マーケティングやEUの規制に精通した人材のニーズは今後確実に高まります。また、製造現場においても、有機基準を満たすための品質管理やトレーサビリティ対応を担うスタッフの教育・育成が不可欠です。特に酒類や畜産物といったカテゴリーでは、製造プロセス全体にわたって高度な専門性と規制理解が求められるため、採用に際してはより戦略的なアプローチが求められることになるでしょう。

さらに、輸出の拡大に伴って必要となるのは、語学力や国際的なビジネスマナーを備えた営業職の強化です。EUのバイヤーとの商談や現地展示会への出展を見越した人材育成は、将来の輸出拡大に直結する要素です。また、物流や通関業務においても、有機認証を伴う輸出入には通常とは異なる手続きが発生するため、それに対応できる実務経験者の確保が、今後の競争力のカギとなるでしょう。

有機食品の輸出入に関する新たな枠組みは、単に認証制度の技術的な合意にとどまらず、国内の生産者や企業にとっては大きな成長機会を意味します。こうした制度変更をいち早く捉え、体制構築や人材採用、社内教育といった経営戦略に落とし込むことで、他社に先駆けたグローバル展開が可能になるはずです。農業や食品産業における人手不足が続くなか、この制度改正を「採用のチャンス」として積極的に活かす姿勢が今こそ求められています。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

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