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2025年3月13日

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2026年度から排出量取引制度が義務化!企業の二酸化炭素排出削減と市場取引の新たなルール

「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました(経産省)

2025年2月25日、環境省は「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第217回通常国会に提出する方針を発表した。この改正は、2050年カーボンニュートラルの実現と経済成長を両立させるためのGX(グリーントランスフォーメーション)施策を強化し、成長志向型カーボンプライシングの具体化を進めるものである。さらに、サーキュラーエコノミーの推進を加速させるため、資源の有効活用を促進する制度の基盤整備も含まれている。

今回の法改正により、まず「排出量取引制度」が法定化される。2026年度から、二酸化炭素の直接排出量が一定規模以上の事業者は、排出量取引制度への参加が義務付けられる。政府は、業種ごとの特性を考慮した指針を策定し、排出枠を無償で割り当てる方針だ。対象事業者は、排出枠の割当年度の翌年度に排出実績を報告し、実績と等量の排出枠の保有が義務化される。また、割り当てられた排出枠の過不足分を取引できる市場が整備され、排出枠の価格安定を目的に上下限価格が設定される。

さらに、化石燃料賦課金の徴収に関する措置が具体化される。2028年度から適用されるこの賦課金制度では、支払期限や滞納処分、国内で使用しない燃料への減免措置などの技術的事項が整備される。これにより、化石燃料の使用削減を促し、GXに必要な財源確保を目指す。

財政面では、GX分野への支援策も強化される。脱炭素成長型経済構造移行債の発行による収入を活用し、GX関連の戦略分野国内生産促進税制の税額控除による減収分を補填する仕組みが導入される。これにより、GX分野への投資を促進し、企業の脱炭素化を後押しする。

また、資源の有効な利用を促進するため、再生資源の利用義務が強化される。特定の製品について、生産量が一定規模以上の製造事業者は、再生資源の利用計画を提出し、定期的な報告を行うことが義務付けられる。この規制により、資源循環の推進と廃棄物の削減が図られる。

環境配慮設計の促進も新たな施策の一つである。製品の解体・分別しやすい設計や長寿命化につながる設計が奨励され、特に優れた環境配慮設計に対する認定制度が創設される。これにより、製品の設計段階から環境負荷を軽減し、持続可能な生産・消費モデルへの移行を促す。

GX推進に不可欠な原材料の再資源化についても、新たな措置が導入される。事業者が回収・再資源化を義務付けられている製品に対し、高い回収目標を設定した場合、認定事業者として認められ、廃棄物処理法の特例措置が適用される。これにより、適正な処理を前提とした業許可不要の制度が導入され、資源のリサイクルが円滑に行われることが期待される。

さらに、サーキュラーエコノミーコマースの促進も盛り込まれた。シェアリングエコノミーを活用した事業者に対し、新たな類型を設定し、資源の有効利用を促進するための基準が設けられる。これにより、シェアリングサービスを提供する企業は、環境配慮型ビジネスモデルの拡大を図ることができる。

本法律改正により、日本の企業は脱炭素社会への対応を一層求められることになる。特に、排出量取引制度や化石燃料賦課金の導入は、エネルギーコストや事業運営に影響を与えるため、早期の対応が必要となる。一方で、GX分野への財政支援や税制優遇策は、企業にとって大きな成長機会をもたらす可能性もある。持続可能な事業運営のためには、環境配慮設計の導入や資源の有効活用を前提とした経営戦略の見直しが求められる。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けた政策が加速する中で、企業は法改正の動向を注視し、積極的な対応を進めることが重要である。今後のGX政策の展開により、持続可能な成長を遂げるための新たなビジネスチャンスが生まれることも期待されている。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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