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2024年9月22日

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2030年に向けた自動運転社会の実現へ!次世代ITS通信システム導入計画が始動

自動運転時代の“次世代のITS通信”研究会(第10回)配布資料 資料10-2 自動運転時代の“次世代のITS通信”研究会(第二期)中間取りまとめ 概要(案)(総務省)

自動運転技術の進展は、交通の安全性と効率性を向上させる大きな可能性を秘めています。その中でも重要なのが「次世代のITS通信システム」であり、この技術は自動運転の社会実装を支える要です。このITS通信は、自動車とインフラ、または自動車同士の通信を通じて、リアルタイムな交通情報の共有や意思疎通を可能にし、自動運転システムを支援します。

令和6年9月に行われた「自動運転時代の次世代のITS通信研究会(第二期)」では、自動運転を現実のものにするためのデジタルインフラ整備が強く議論されました。特に焦点を当てられたのが、5.9GHz帯V2X通信システムの実用化に向けた方策と、それに関連する周波数の移行問題です。V2X通信は「Vehicle to Everything」の略で、車両と他の車両(V2V)、インフラ(V2I)、ネットワーク(V2N)との通信を指します。この技術は、特に自動運転車両が複雑な交通状況で安全に運行できるために不可欠なものです。

まず、研究会での議論では、5.9GHz帯V2X通信システムの実証と検証が不可欠であることが強調されました。特に、実証実験のデータ収集が自動運転車両の運行に必要な通信環境整備に貢献するとされています。この実証実験は全国で段階的に進められ、新東名高速道路などでのテストが計画されています。しかし、こうした通信システムの導入にあたっては、既存の無線局との干渉問題が大きな障壁となっており、研究会では既存無線局免許人の負担を軽減するための手続きの迅速化が必要だと提案されました。

また、5.9GHz帯V2X通信の実用化に向けた具体的な取り組みも重要です。これには、周波数移行促進策の具体化が不可欠であり、既存の放送事業用無線局が利用する周波数帯からの移行が進められる必要があります。この移行作業は既存の無線設備に対して相当な負担をかけるため、時間とコストを考慮した慎重な計画が求められています。

次に、研究会では、ユースケースに応じた通信方式の選択が議論されました。特に自動車のソフトウェア化が進む中で、協調型自動運転通信方式のロードマップを精緻化し、どのユースケースにどの通信方式が最適かを検討する必要があります。例えば、V2X通信とV2N通信の組み合わせや、760MHz帯と5.9GHz帯をどのように利用するかといった点が重要な検討課題となります。

自動運転車両が走行する際には、大量のデータが収集されます。このデータをどのように活用するかも重要なテーマです。交通管理者やインフラ整備担当者にフィードバックすることで、さらに効率的な交通システムを構築できる可能性が広がります。また、自動運転車両のセンサーによって収集される情報は非常にリッチであり、これらを安全な交通運行に役立てるための仕組み作りも必要です。

自動運転トラックの実証実験に向けては、全国の高速道路網における通信インフラ整備が進められています。特に東北自動車道など、物流の重要な幹線道路において、5.9GHz帯V2X通信システムが導入される予定です。これにより、自動運転トラックが広範囲にわたって安全に運行できる環境が整備され、物流の効率化が期待されています。

また、国際的な動向も考慮する必要があります。欧米では、自動運転技術やITS通信に関する研究が進んでおり、日本もこれらの国際基準に合わせた技術開発を進めることが求められています。特に周波数調和の問題は重要であり、グローバルに対応できる通信システムの構築が自動運転の普及にとって重要です。

自動運転技術の発展は、交通事故の削減や渋滞の解消、さらにはカーボンニュートラルの実現にも大きく貢献します。V2X通信の普及が進めば、例えば交差点での事故防止や、右折時の衝突事故など、従来の技術では対応が難しかった問題にも対応できるようになります。また、5.9GHz帯V2X通信を含む新しい通信インフラの整備は、既存の760MHz帯ITS無線との連携を図ることで、より安全かつ効率的な道路交通システムを実現することが期待されています。

このように、自動運転時代の通信システムの導入は、社会全体に多くのメリットをもたらすものですが、その実現には様々な課題が残されています。技術開発やインフラ整備だけでなく、周波数移行や既存事業者との調整、さらには新たな通信方式の導入に向けた国際的な協調が不可欠です。また、こうした新技術の普及には、政府と民間企業、そしてユーザーが協力し、共通の目標に向けて取り組むことが求められます。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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